ティツィアーノ、カラヴァッジョ、クールベの官能的すぎる女性画!
本日取り上げるのは象徴派やクリムト以外の作品で心がざわざわする女性画。大げさに言うとMy究極の官能的女性画。
★ティツィアーノの‘ダナエ’: プラド美(上の画像)
★カラヴァッジョの‘マグダラのマリアの法悦’: ローマ、個人蔵(真ん中)
★クールベの‘眠る女たち’: パリ、プティ・パレ美(下)
西洋の古典絵画を鑑賞していると、ヴィーナスをはじめとする裸婦図に数多く遭遇するが、気持が異常に興奮するようなことはない。でも、ヴェネツィア派の巨匠、ティツィアーノが描いた‘ダナエ’だけは例外で、見てると自然に心拍数が上がる。
プラド美の鑑賞記でも書いたが(拙ブログ07/3/23)、こんな時代によくこれほど官能的に描けたなと感心する。右に醜い老婆がいるからダナエの美しさ、艶っぽさが余計に引き立つ。ルネサンス期に描かれた女性像でエロティシズムを感じさせるのはこの‘ダナエ’とクリヴェリが描く聖女。これが官能女性画の1号ではないかと思っている。
‘マグダラのマリアの法悦’の恍惚とした表情はそれこそ生唾もの。岡崎市美術博物館であった‘カラヴァッジョ展’(01年)におけるこの絵との対面は本当に衝撃的だった。‘カラヴァッジョは凄い、凄すぎる!’と心のなかで何度もつぶやいていた。以来、これを官能女性画のNo.1にしている。
バロック美術には恍惚さではこれと同じくらい心臓がバクバクするのがもう二つある。それはベルニーニの彫刻、‘聖女テレジアの法悦’(05/5/22)と‘福女ルドヴィカ・アルベトーニ’(06/5/18)。
近代のクールベ作品にも官能的すぎる絵があることを1月パリでみた大回顧展で実感した。クノップフやクリムトの描く女性像にもクラクラするが、衣服を着ていたり、図案化された装飾的な文様も一緒に描かれているので、その官能性は神秘的、夢想的なイメージにつつまれている。これに対し、クールベは女性を肌の匂いが感じとれるように写実的に描いているので、すごく近づきやすく、そして見る者を興奮させる。
同性愛を描いた‘眠る女たち’はあけすけに官能的な美術を鑑賞することに熱をあげていたトルコ人パトロン(オスマン・トルコのパリ駐在大使)の依頼によるもの。‘女とオウム’(メトロポリタン、2/23)もかなりエロティックだが、‘眠る女たちは’はもっと激しい。
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