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2008.09.12

Bunkamuraのミレイ展

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待望の‘ミレイ展’(Bunkamura、8/30~10/26)を見た。1月に訪問したロンドンのテートブリテンで一足お先にミレイ作品を見る予定だったが、どういうわけか‘オフィーリア’(真ん中の画像)をはじめミレイの絵が消えていた。一枚も飾ってないのである。あとでわかったのは10日くらい前までここで大回顧展を開催していたためだった。だから、日本に巡回してきたこの回顧展はリカバリーの意味もこめて熱心にみた。

作品は75点ある。大半はテートやイギリスの美術館が所蔵するものだが、日本の西洋美と郡山市美からも3点出品されていた。作品を全部見終わったあとの率直な感想は、感動の総量はミレイがラファエロ前派を結成したときに制作した作品に使い果たしたという感じで、会場を進むにつれて興味が薄れてきた。やはりミレイは初期の作品がベストではないかと思う。

鮮やかな色彩と徹底した細部描写にあっけにとられる絵が最初に2点でてくる。男の子の赤い服と強い光の表現に惹きつけられる‘木こりの娘’と上の‘マリアナ’。腰の後ろに両手を当て体を少し後ろにそらすマリアナのポーズも気になるが、それよりも数倍のインパクトをもっているのが目の覚めるような青の衣服と半分光が当たっている椅子の赤い布地。青と赤が柔らかい生地の質感をいっそう引き立てている。

この絵の隣にお目当ての‘オフィーリア’がある。10年前東京都美であった‘テート・ギャラリー展’で見て以来、何度となく画集で眺めてきた絵だから、もう何回もみたような気になっている。大げさに言うと‘オフィーリア’はボッティチェリの‘ヴィーナスの誕生’、‘春’とともに西洋絵画の金字塔。

これほどすばらしい絵をイギリスの22歳の画家が描いたというのがまさにサプライズ!川のまわりの大半を緑の草木がしめ、水面に白い顔と胸、手のひらを出し、ぷかっと浮いているオフィーリアの胴体から足元にかけて、薔薇、ケシ、雛菊などが一緒に流れていく。美しいオフィーリアをどこまでも追っかけて行きたくなる。

下の‘ローリーの少年時代’に大変魅了された。海のほうを指さしている手前の男の姿をみてすぐ思い出したのがナショナルギャラリーにあるカラヴァッジョの‘エマオの晩餐’(拙ブログ2/6)に描かれた右の男の両腕。ミレイはこの短縮法で描かれた腕を参考にしたのだろうか?また、惹きこまれるのが男の冒険話をじっと聞いている二人の少年の目。人物画で一番大事なのは目だが、この真剣な目つきをみると将来この少年は立派な船乗りになるにちがいない。

肖像画でお気に入りは可愛い女の子を描いた‘連隊の子ども’,‘初めての説教’と‘ハントリー侯爵夫人’、‘トマス・オールダム・バーロウ’。ミレイは本当に子供を描くのが上手い!夫人や紳士をモデルにした絵は初期のように細部にこだわって描かれてないものが多いが、この2点は色の塗りがていねいで細部にまで筆が入っている。

日本でミレイの代表作がこれほど沢山みれるなんて夢のよう。満足度200%の展覧会だった。

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コメント

こんにちは。

同じく「マリアナ」にぞっこん!
この作品は展覧会中の白眉ならぬ「青眉」ですね。

「オフィーリア」と同じ空間にあるのも贅沢。

投稿: Tak | 2008.09.13 16:53

to Takさん
‘マリアナ’はいいですね。目の覚める青の衣服を
みているとワシントンナショナルギャラリーで
見たヤン・ファン・エイクの‘受胎告知’を思い
出します。おっしゃる通り‘青眉’です。

それにしても、ミレイの技量は超一級ですね。
今回‘オフィーリア’など初期の傑作をみてつくづく
そう思いました。

投稿: いづつや | 2008.09.13 22:51

いづつやさん、ご無沙汰しております。
色々ありまして、ブログを新たに立ち上げました。
また美術記事がたまりましたら、拙ブログにお立ち寄りいただけると幸いです。
ミレイ、私も見てきました。「オフィーリア」の素晴らしさには本当に言葉もないくらいでしたが、女性や子どもに向けたミレイの暖かい眼差しは興味深いものでした。
もう少し作品があっても良いかなと思いましたが(例えば「盲目の娘」「落ち葉」、「憩いの谷」と対になる「春」など)それは次の機会を待ちたいですね。
またどうぞお願いします。

投稿: アイレ | 2008.09.15 01:16

to アイレさん
ご無沙汰です。また、新ブログにお伺いします。
‘オフィーリア’とか‘マリアナ’のような絵を
描くには相当の忍耐力ととびぬけた技をもって
ないと描けませんね。ほとほと感心します。

ミレイがとても魅力的な女の子を描くことは2年
くらい前、Bunkamuraであった‘スコットランド
国立美展’で知ったのですが、今回も可愛い子供
や少女に心がなごみました。

おっしゃるように‘ミレー3大名画展’(03年)のとき
驚愕した‘盲目の娘’があれば完璧でしたね。

投稿: いづつや | 2008.09.15 11:56

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