東博浮世絵エンターテイメント! 歌麿・北斎・広重
現在、東博の浮世絵コーナーに展示してあるのは28点(7/29~8/24)。そのなかで多いのが歌麿。“対決ー巨匠たちの日本美術”に登場している“歌麿 vs 写楽”を意識してか、7点もある。
足が止まるのは上の“青楼仁和嘉女芸者部 大万度 萩江おいよ 竹次”、“金魚遊び”、“鮑取り”(拙ブログ07/7/14)。歌麿初期の傑作、“青楼仁和嘉”は長いこと対面を待っていた絵。金糸の豪華な衣装をやっと見れた。
二人は芸者で“萩江節”という三味線の一派の名取。立っているのがおいよ、座っているのが竹次。吉原では俄狂言(にわかきょうげん)、略して“俄”という町を練り歩くカーニバルみたいなものが例年8月に行われており、二人は演目“大万度”をこれから演じるため、準備をしているところ。背中から長く垂れた細い金糸のむこうには緑地に描かれた鶴の紋様がみえる。
歌麿は俄を6枚の揃い物として仕上げたあと、同じ題名で半身像三人を配したものを4枚描いている。手元の画集に載っている後のシリーズ“唐人 獅子 角力”(大英博物館蔵)は上の絵以上に魅力があるので、いつか見てみたい。夏にもってこいの絵が“鮑取り”。隣に春信のあぶな絵、“海女”を飾っているのも気が利いている。
ここ3カ月続けて展示してある北斎の“花鳥図”をみていると楽しくなる。今回は真ん中の“芙蓉に雀”と“百合”(07/2/15)。“芙蓉に雀”を雀の飛ぶ姿と画面のなかの位置をいろいろシミュレーションしながら見ていた。似たような構成の“紫陽花と燕”で燕は右斜め上から飛んできているのに対し、芙蓉の真横に描かれた雀は上から垂直に落下してきた感じ。芙蓉は地面からまっすぐにのびているので、垂直の動きを強調するため、雀をこれにあわせた形にしたのかもしれない。
広重の“東海道五拾三次”からは“金谷”と下の“日坂”の2点。“日坂”の画面中央、道にごろんと置かれているのは“夜泣石”。立体的な空間を感じさせるゆるく曲がったU字の坂道とまわりの松の木をみるたびに感心するのが広重の構成に対する図抜けた感性。ほんとうにすごいと思う。
初見で200%感動した絵があった。勝川春章の“大谷広治の鯉つかみ”と鳥文斎英之の三枚続の大作、“蛍狩り”。見てのお楽しみ!
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