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2008.08.24

横須賀美のライオネル・ファイニンガー展

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今年の西洋画で注目していた“ライオネル・ファイニンガー展”(横須賀美、8/2~
10/5)を見た。1871年にNYで生まれたドイツ系アメリカ人、ライオネル・ファイニンガーの回顧展が日本で開かれるのははじめて。横須賀美のあと、愛知県美(10/17~
12/23)、宮城県美(09/1/10~3/1)にも巡回する。

これまで、ファイニンガーの作品を見た経験はせいぜい両手くらいだから、今回出品された初期から晩年までの138点を興味深くみた。最初の部屋にあったシカゴ・トリビューンに掲載された風刺漫画がおもしろい。ファイニンガーが風刺画からスタートしたとは知らなかった。

いくつもある人物画が未来派やキュビスムの影響を受けていることは明白。お気に入りは頭が異常に小さい男や女の歩く姿が皆横向きのシルエットで描かれている“カーニバル”(ベルリン国立美)と上の“青い魚を持つ釣師Ⅱ”。3月に訪問したシカゴ美でも“カーニバル”と同じ題名の絵に出くわし、“ファイニンガーにこんな愉快な人物画があったのか!”と刺激を受けたばかりだが、またまた楽しませてもらった。

構成が巧みな“青い魚”にとても魅力される。人物は角々とした描き方で、背景の海や画面上部に描かれた船のむこうの空は横に広がる鋭角的な色面で表現されているが、画面の硬さを黄色や白やうすピンクの明るい色彩で和らげている。また、キュビスム風に描かれた顔が印象深い“自画像”にも惹きこまれる。

会場を進むにつれて、ファイニンガーらしい絵がひとつふたつと現れてくる。これまで見たファイニンガーの絵というと、古い村、教会や家々をモティーとして透明な色彩と直線的な色面を重ね合わせて描かれた風景画。そのイメージはキュビスム的風景画というか抽象的風景画。

真ん中は尖がり度が緩く、四角形の色面の重なりがとても柔らかい“街にそびえる教会”(ドイツ銀行)。そして、下は切れ味鋭い斜めの線と光と影のコントラストが心にずきっと響く“夜の聖マリア教会”(フォン・デア・ハイト美)。これが体のなかにしみ込んでいるファイニンガーの絵に一番近い。

教会の絵とともに多いのが船や海の光景を描いたもの。一度みたことのある愛知県美蔵の“夕暮れの海Ⅰ”や虹の黄色とヨットの白い帆が目に心地いい“虹Ⅱ”に足がとまった。質の高い作品をいくつもみれたのでファイニンガーにぐっと近づけたような気がする。

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