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2008.08.01

東京都庭園美術館の舟越桂 夏の邸宅

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東京都庭園美術館は好きな美術館。ここで今、企画展“舟越桂 夏の邸宅”(7/19~9/23)が行われている。感想を書く前に注意事項を。ここの休館日はほかの美術館のように月曜ではなく、第2と4の水曜日。久し振りに訪問したので、これをすっかり忘れ、7/23は閉まった門の前でがっくり!こういうときは本当に疲れがドッとでる。
8/13,9/10は休みなのでお出かけにならないように。

これまで見た舟越桂の彫刻は上の“肩で眠る月”(96年、愛知県美)の一点のみ。これにすごく衝撃を受け、いつか回顧展あったら是非見にいこうと思っていた。それがやっと庭園美で実現した。作品は“肩で眠る月”を含めて彫刻が18点、ほかにドローイング
40点、版画20点。

楠に彩色された木彫作品はかなりシュール。“肩で眠る月”のタイトルがまずヘン。どこに月があるの?肩のところに彫られているのは家と山。よくわからない?遠くをみているような眼をした男の顔の後ろに子供の顔がくっついているのもハッとする。

真ん中の“雲の上の影”(02年、札幌芸術の森美)は大きなセーターのなかに女性が二人入っているみたい。これくらいのフォルムだと心は落ち着く。これをシュールさの中点とすると、ごくまともな現代人の半身像が5点、そのほかの8点はなんとも不思議は肖像彫刻。

シュールさの決め手は腕と手。裸体の女性の後ろに切断された両腕があったり、男の腹のあたりに一本の腕がくっつけられている。この腕は06年から舟越が制作している両性具有の“スフィンクス”シリーズにもでてくる。下の“遠い手のスフィンクス”(06年)ではカットされた左手が大きな乳房の横にみえる。

一連の“切断された腕や手”をみて頭をよぎったのがベルギー王立美でみたマグリットの“エスプリ”(拙ブログ05/4/25)とクレーの“頭も手も足もハートもある”(06/7/4)。これに舟越は刺激された?!

スフィンクスの作品はほかに4点ある。作品にすっと向き合える“戦争を見るスフィンクス”(06年)、心がざわざわしてくる大作“森に浮く〃”(06年)、般若のような顔が目に焼きつく“戦争をみるスフィンクスⅡ”(06年)、そして今年の作品、“見晴らし台の〃”。スフィンクスの頭のてっぺんから両手を上にあげた子供がにょきっと出てきた感じの“見晴らし台の〃”は“肩で眠る月”を連想させ、すごく惹きつけられる。

舟越桂の彫刻作品をアール・デコ装飾で彩られた空間に展示してみようと思いついたここの学芸員のセンスは相当なもの。アール・デコとシュールな舟越桂の作品が見事に響き合っており、モダンとコンテンポラリーの美が融合した“夏の邸宅”になっている。

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コメント

実に涼しげな夏の邸宅でしたね。
見晴らし台のスフィンクスの頭上の両手を
突き上げている人物は、舟越さんの姿のようにも
感じられました。

投稿: 一村雨 | 2008.08.04 07:20

to 一村雨さん
念願の舟越桂展でした。見た作品は一点だけ
ですから、幅のあるシュールヴァージョン
にちょっと驚いてます。

“見晴らし台のスフィンクス”は言われてみると
頭から出てきているのは舟越桂かもしれませんね。
何年かたってまた、新作を見たいです。

投稿: いづつや | 2008.08.04 22:09

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受信: 2008.08.04 07:21

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