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2008.08.06

期待のフェルメール展!

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東京都美で期待の“フェルメール展”(8/2~12/14)を見た。会期を超ロングの4ヶ月にしたのは、フェルメールの高い人気を想定してのことだろう。フェルメールが大好きな方なら、全国から万難を排して上野に駆けつけるだろうが、新幹線を使えばさっと東京に来れる近畿、東海、長野、新潟、東北からも多くの方が上京されるのではなかろうか。

また、近隣のアジアでは韓国や台湾や中国の北京とか上海の美術ファン、シドニー、メルボルンにいるオーストラリア人、アメリカのLAやサンフランシスコにいる人たちも東京に押し寄せるのではないかと勝手に想像している。

フェルメールの作品が一度に7点も見られるのは滅多にないこと。それにしても、日本は美術大国。2000年にも大阪市立美で開催された特別展に“青いターバンの少女”(拙ブログ07/10/6)、“天秤を持つ女”(4/13)、“地理学者”、“リュートを調弦する女”、“聖プラクセディス”の5点が展示され、すごいフェルメール人気だったが、今回はこれを上回る7点の公開。昨年の“牛乳を注ぐ女”に続いての7点だからまったくすごい。

2階に飾ってあるのは、“マルタとマリアの家のキリスト”(上の画像)、“ディアナとニンフたち”、“小路”、“ワイングラスを持つ娘”、“リュートを調弦する女”、“手紙を書く婦人と召使”、“ヴァージナルの前に座る若い女”。開幕直前に、“絵画芸術”(ウィーン美術史美)がドタキャンになり、ダブリンにあるアイルランド・ナショナル・ギャラリーが所蔵する“手紙を書く婦人と召使”に替わった。

“絵画芸術”との対面を楽しみにされていた方には申し訳ないが、この変更は嬉しいニュースだった。4回みている“絵画芸術”よりは未見の“手紙を書く”のほうが断然有難い。フェルメールが好きといってもダブリンまでは追っかけられない。

目に力が入るのは初見の作品。初期の宗教画“マルタとマリアの家のキリスト”(スコットランド・ナショナル・ギャラリー)はカラヴァッジョの“エマオの晩餐”(2/6)のようにキリストが手を大きく広げるポーズがみられるので、以前からいつかお目にかかりたいと思っていた絵。ようやく夢が叶えられた。

キリスト、下で肘をつくマリア、パン籠をもっているマルタの三人の位置関係がまことに絶妙で人間味にあふれている。キリストの話をじっと聞いているマリアの明るい赤の衣装と顔の目の前にあるキリストのやけに大きな手がとても印象的。

真ん中の“ワイングラスを持つ娘”(アントン・ウルリッヒ美)は図版でこちらのほうをみて笑っている娘にとても惹かれていた。が、笑顔は期待通りだったが、顔や手の描き方があまりていねいではない。さらに、いつも居なくなってほしいと思っている男が二人もいるので、トータルの好みとしてはフリックコレクションの“士官と笑う女”(5/22)の半分くらいだった。

下の“手紙を書く婦人と召使”は緑のカーテンの陰影とか手紙を書いている女主人の白い服や顔のはっきりした描き方をみると、窓から差し込む光がちょっと強すぎる感じ。これと較べると“天秤を持つ女”や“水差しを持つ女”(5/8)にみられる光の量は少なくてやわらかい。

“ヴァージナルの前に座る若い女”の率直な印象は“ええー、こんな小さい絵だったの!”ロンドンナショナルギャラリーで久しぶりにみた“ヴァージナルの前に座る女”と同じくらいの大きさを想像していたから、勝手が違った。メトロポリタン美蔵の“リュートを調弦する女”は前にも書いたが、どうも苦手。だから、さらっとみて終わり。

再会した“小路”(アムステルダム国立美)の見どころは何といっても赤茶色の煉瓦の質感と明るい雲!しばらくいい気もちでこの風景画をみていた。

今回の鑑賞でこれまで見たフェルメール作品は37点のうち、31点になった。ボストンのガードナー美にある“合奏”は盗難中だから、残りは5点。今年中にもう2点みれるかもしれない。フェルメールとのお付き合いはまだまだ終わらない。

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コメント

いつも楽しみにしています。
さすがもういってきたのですね。

フェルメールはとってもファンが多いですね。
静かで上質な時間を感じるからでしょうか。

紹介していただいた絵のなかで、マルタとマリアの家のキリスト。興味もちました。

配置もいいけれど、マルタの白、マリアの赤、キリストの青。まさにトリコロール配色。

話の内容まで聞こえてきそうですものね。
すばらしいですね。

投稿: tomato | 2008.08.07 10:06

to tomatoさん
フェルメール7点だけを見てきました。
オランダの画家はレンブラント、ホントホルスト、
ハルス、フェルメールの4人しか興味ないので、
昨年の“牛乳を注ぐ女”のときと同様、鑑賞時間
はフェルメールだけにあてました。

一番のお目当てが上の“マルタとマリアの家の
キリスト”です。カラヴァッジョにのめりこんで
ますから、この絵は見たくてしょうがありません
でした。期待通りのいい絵に大満足です。

おっしゃるように三人が肩肘はらず気楽にしゃ
べっているように描かれているところがいいですね。
これにすごく魅せられます。どうか、お楽しみください。

投稿: いづつや | 2008.08.07 11:20

こんにちは。

いづつやさん同様、今回の突然の変更は
自分にとっても大変ラッキーなものとなりました。
芸術の神様に感謝したいほどです。

ダブリンまでどうやって行ったらいいか
旅行者の方と相談していた矢先のことでした。

ホームグランドの上野で至福の時過ごして来ました。

投稿: Tak | 2008.08.09 14:23

to Takさん
今は腹の底から嬉しさがこみあげてくる感じ
でしょうか。フェルメール作品を全部みれて
本当によかったですね。

私はダブリンにある“手紙を書く婦人と召使い”
は無理だから、これを外して残りをなん
とかしようと思ってましたが、ラッキーにも
日本でみられることになりましたから、全点
鑑賞も夢でなくなりました。あせらず、ゆっ
くりいきます。

投稿: いづつや | 2008.08.09 16:14

おひさしぶりです。
本日、すべりこみでフェルメールに行ってきました。寝坊して10時前に到着、行列というほどのものはなく入れましたが、絵画の前には当然のように黒山がもこもことできておりました。見飽きるほど何度も見ては離れ、離れては見てをくり返してもやはり飽きることはなく、最後には「今回は本場での鑑賞にあたっての下見なのだ」と言い聞かせてようやく出てきました。昼を過ぎた頃、すでに1時間待ち(ではすまされないと思われる)の行列は館外で蛇行をくり返しておりました。
「絵画芸術」は最も好きな1点でもありますし、ウィーンでの出会いから13年ぶりということで楽しみにしていましたが、いづつやさんも
おっしゃるように、「手紙〜」はこのうえもなく素晴らしい代役でした(実はことしのスペイン旅行は当初アイルランドを計画していたのですが、行かなくてよかった)。今回は、「マルタとマリア〜」のような大きくて見やすい絵もありよかったです。ただ、「ヴァージナル〜」については個人的には「?」が残りましたが...。ともかくもこれで、ようやく「あと半分」となりました。

それにしてもいづつやさんは実に守備範囲が広くいですね。また、その洞察力にも感心させられます。
もしかしたらもうご存知かもしれませんが、ことしちょっと関わった本で「アートバイブルII」という聖書のことばとそれをモチーフにして描かれた絵画を抱き合わせで編纂したいわゆる抜粋聖書があります(日本聖書協会発行)。解説などは一切ありませんので、どれほど参考になるかわかりませんが、もし書店でみかけましたら、ちょっと立ち読みでもされてみてください。また、版の質が決してよい訳ではないのですが、これまでにはない企画ものではあると思います(IIということは Iもあるのですが、全体的なクオリティの面からすればIIの方がまあ、お勧めできるかな?という感じです)。
すでにチェック済みということであれば、軽く聞き流してください。
それでは、またいずれ

投稿: あるデザイナー | 2008.12.06 00:07

to あるデザイナーさん
返事が遅れて申し訳ありません。
フェルメール展も大詰めですね。日本で
‘手紙を書く婦人と召使’が見られたのは
本当にラッキーでしたね。これが見られた
ので、全点鑑賞できそうな雰囲気になって
きました。

‘アートバイブルⅡ’がでたのですか!早速
購入しようと思います。貴重な情報を有難う
ございます。‘Ⅰ’はお気に入りの本です
から、楽しみです。

投稿: いづつや | 2008.12.06 23:59

前に書き込んだあとに、しばらくブログをお休みされることを知り、再開されたのに気づかずにおりました。すぐにコメント返ししていただいたのですね。ありがとうございました。
さすがいづつやさん、アートバイブルをお持ちでしたか。また、お世辞にも「お気に入り」とのおことば、恐縮です。'I'では印刷の再現上やや不足分が目立ちましたので、'II'ではその反省に立ち、ある程度改善されているように思います。また、使用した書体や文字詰めなども見直し、より読みやすく努めたつもりです。
また、なにかご感想でもお聞かせいただければ幸いです(ご忌憚なき意見をお待ちします)。
それでは、また

投稿: あるデザイナーさん | 2008.12.15 15:35

to あるデザイナーさん
今日、OAZOの丸善でアートバイブルⅡを購入
しました。Ⅰに比べると画像の質がかなりいい
ですね、また、これまで知らなかった作品も
多く載っているので目を見張らせてページを
めくりました。

宗教画、神話画は‘西洋絵画の主題物語’の
Ⅰ聖書編、Ⅱ神話編(美術出版社)にこの
アートバイブル2冊(日本聖書協会)があり
ますからもう完璧です。

バイブルⅡはまた海外の美術館巡りをするとき
必見リストづくりに役立ちそうです。教えて
いただきまして本当に有難うございました。

投稿: いづつや | 2008.12.16 19:37

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東京都美術館で開催中の 「フェルメール展〜光の天才画家とデルフトの巨匠たち〜」展に行って来ました。 内覧会にお誘い頂いていたにも関わらず海外出張と重なり、参加出来なかった自分は何て運が悪いのだろうと英国で嘆いていた矢先。昨日の記事に書いた信じられない幸運が重なり東京都美術館の「フェルメール展」でフェルメール巡礼の旅に終止符を打てることになりました。 記念日とか全く普段気もしませんが、今回ばかりはどうにかして「これ!」と言える日に観に行きたいとあれこれ考え「今日」に決めました。2... [続きを読む]

受信: 2008.08.09 14:24

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