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2008.07.08

対決ー巨匠たちの日本美術  仁清 vs 乾山

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待望の“対決ー巨匠たちの日本美術”(東博 7/8~8/17)がはじまった。会期は一ヶ月ちょっとだから、昨年10月の“狩野永徳展”(京博)同様、のんびり構えているとすぐ終わる。会期は短いが、内容はもうたまらなく濃い。

絵画、やきもの、彫刻の分野における“THE 日本の芸術家”が生み出した傑作中の傑作が一度に見られる機会なんて大げさに言えば20年に一回くらいしかない。日本美術のエッセンスが濃蜜につまった名作の数々は、スイスアルプスに例えるならば、モンブラン、モンテ・ローザ、マッターホルン、アイガーなどの名峰を見るようなもの。

ここに登場する24人の作品(110点)はどれも一級品だから、こちらが良くて、あちらはちょっと劣るというものではない。展示の仕方は巨匠たちの“対決”というスタイルになっているが、これは展覧会をもり上げるための演出。“対決”をとりはずして、自分の視点で名作を堪能したいという方もいるはず。それも一つの楽しみ方。

でも、主催者は今人気のアーティスト、山口晃に巨匠の似顔絵を描かせて(原画が1階に展示してある)、興味を惹こうとしているのだから、この仕掛けに乗って、この際作品に対する自分の好みを旗色鮮明にするのも一興かもしれない。

すると“伊藤若冲にぞっこんだったが、曽我蕭白もぐっとくるねー!”とか、“雪舟は知っていたが、雪村というのもいたんだ?あの呂洞賓図のポーズ、面白いなんてものじゃあないな、参ったよ!”といった別の感じ方が心のなかで起きるかも? ビッグネームの名作がこれほど多くあるのに1回ですませるのはもったいないので、いくつかの“VS”を取り上げてみたい。最初は“仁清 vs 乾山”ー彩雅陶から書画陶へー

やきものはもう一つ“長次郎 vs 光悦”がある。上はいつか紹介しようと思っていた野々村仁清の“色絵吉野山図茶壺”(重文、福岡市美蔵)。いくつかある茶壺のなかで、この装飾美にあふれる茶壺がもっとも気に入っている。はじめてこれに対面したとき、心がとろけそうになった。吉野山は名古屋にいたとき訪問したことがあり、山一面に咲ほこる桜花に大感激した。この茶壺を見るたびに美しい吉野山の風景が思い起こされ、気分がハイになる。

仁清の桜に対して、尾形乾山の作品は秋の紅葉を描いた“色絵紅葉図透彫反鉢”(真ん中)。この反鉢は乾山の透鉢の定番。紅葉をモティーフにしたものが出光やMOAなどに数点あるが、この個人がもっているものがベスト。黄色、赤、緑の発色がすばらしく、反った口縁の内の外に隙間なく描かれた紅葉の意匠とシャープな形が見事に調和している。二つの名品が並んだこの空間にいると、なんだかサントリー美の“KAZARI 日本の美の情熱”の続きを見ているよう。

下は久しぶりにみた乾山の“色絵菊図向付”(五島美)。菊文の花芯の黄色と葉の緑がなんとも鮮やか!そして、心をとらえるのが菊の意匠に合わせて向付の形をきめているところ。乾山はこれまで誰もやらなかったことを豊かな感性で生み出す。アイデアが尽きないのが天才の証!

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