« 対決ー巨匠たちの日本美術  長次郎 vs 光悦 | トップページ | 対決ー巨匠たちの日本美術  大雅 vs 蕪村 »

2008.07.10

対決ー巨匠たちの日本美術  雪舟 vs 雪村

384_4
385_6
386_4
今回、絵画で“対決”しているのは16人。“雪舟 vs 雪村”、“永徳 vs 等伯”、“宗達 vs 光琳”、“大雅 vs 蕪村”、“若冲 vs 蕭白”、“応挙 vs 芦雪”、“歌麿 vs 写楽”、“鉄斎 vs 大観”。目の前にこの大きな々画家たちの絵が並んでいるのである。まさに夢の展示空間が実現した感じ。

出品作が超一級でもこれまで紹介したものはダブりになるので割愛し、是非見たかった作品とまだ取り上げていない名画が入っているペアリングに焦点をあてることにした。まずは“雪舟 vs 雪村”ー画趣に秘める禅境ーから。

昨日の追っかけリストでもお分かりのように、代表作はほとんど見ている雪舟より雪村(せっそん)のほうに心はぐっと向かっている。東京で雪舟の絵が5点もみられるのは05年7月、根津美術館であった“明代絵画と雪舟展”以来のこと。

花鳥画では大好きな“四季花鳥図屏風”(重文、京博、拙ブログ05/7/21)、上の“慧可断臂図”(えかだんぴ、国宝、斎年寺)、“秋冬山水図”(国宝、東博、07/8/23、展示は7/29~8/17)が揃うのだから雪舟はもう完璧。これに“天橋立図”(国宝、京博)があったら卒倒しそう。

“慧可断臂図”はじっくりみるととてもショッキングな絵。濃墨で描かれた岩に向かって座禅をしている達磨と後ろにいる慧可の顔つきは似ている感じだが、微妙に違う。厳しい修行の結果、高い精神性がにじみ出ている達磨に対して、慧可は目が窪み、まだ迷いが吹っ切れてない様子。でも、左腕を切り落として入門の決意を達磨に示すほどの純朴な精神の持ち主だから、悟りに近づくのは早かったに違いない。

02年、山口県美であった“雪村展”ではじめて雪村の絵を見た。見終わったあとの率直な感想は“雪舟のほかにこんなスゴイ絵師がいたのか!”。この大回顧展では前後期で作品がごっそり入れ替えられていたので、前期の作品を見逃したのが悔やまれた。

そのなかで一番みたかったのが、真ん中の“呂洞賓図”(りょどうひん、重文、大和文華館)。リカバリーに6年かかった。まったく度肝をぬかれるのが龍の頭に上にのっている仙人、呂洞賓の立姿。そっくりかえった顔のあごひげは右になびき、衣は左のほうへ勢いよく流れている。相当強い風が左右前後から吹いているのだろう。

呂洞賓の左手にもった壺をよくみると、中から龍が出てきており、これが右上空の龍に変わる。この龍は聖人。で、この絵は人が聖人を仰ぎ見る場面ということになるが、そういう絵の解釈はどこかへ行き、映画“インディ・ジョーンズ、失われた聖櫃”の最後のシーンのようなイメージが頭にこびりついている。

雪村は風の表現が神業的に上手い!鯉にまたがった“琴高・群仙”(京博、06/3/1)や“列子御風”(アルカンシェール美)でも、衣がちぎれそうになるくらい風がびゅーびゅー吹いている。どうしてこんな描き方になったのか興味深々。

ここ数年の東博平常展にでてきた雪村の絵は“松鷹図”(重文)、“蝦蟇・鉄拐図”(05/8/4)、“鷹山水”(07/7/13)の3点。今回は見るからにユーモラスな“蝦蟇・鉄拐図”が展示してある。下はその左隻の“蝦蟇”。三本足の蝦蟇蛙の安定感のない動きとその蛙を操る蝦蟇仙人のグロテスクな容貌が見る者を強力に惹きつける。

7/29からは待ちに待った“風涛図”(重文、野村美)が登場する。これはどういうわけか回顧展にも出品されてない。代表作といわれているので、期待が高まる。

|

« 対決ー巨匠たちの日本美術  長次郎 vs 光悦 | トップページ | 対決ー巨匠たちの日本美術  大雅 vs 蕪村 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 対決ー巨匠たちの日本美術  雪舟 vs 雪村:

« 対決ー巨匠たちの日本美術  長次郎 vs 光悦 | トップページ | 対決ー巨匠たちの日本美術  大雅 vs 蕪村 »