« 08年後半 展覧会プレビュー | トップページ | 生誕290年 木喰展 ー庶民の信仰・微笑仏ー »

2008.07.02

Bunkamuraのロシア・アヴァンギャルド展

361_2
362_2
363_2
現在、Bunkamuraで開催中の“ロシア・アヴァンギャルド展”(6/21~8/17)への期待はチラシに謳われている通りシャガールとマレーヴィチ。今回展示してある70点は
1999年に開館したモスクワ市近代美術館が所蔵するもの。

東京都美の“国立ロシア美展”(昨年4月)に刺激されたのか、Bunkamuraもこの展覧会のあと来年には“国立トレチャコフ美展”(09/4/4~6/7)を主催するなど、ロシアの画家の開拓に力が入っている。こういうまだ日本では知られていない名作をどんどん紹介しようという姿勢は好感がもてる。

モスクワ市立近美のコレクション全体の質はわからないが、作品を見る限り中くらいではなかろうか。例えば、マレーヴィチの絵では、アムステルダム市立美やNYのMoMAにある作品と同じくらい質が高いという感じではない。シャガールは“ヴァイオリン弾き”など3点あるが、その色彩や構成にすごく惹きこまれることはなく、普通のシャガールの絵。だから、過度の期待は禁物!

上は魅了された作品のひとつ、ゴンチャローヴァ(ラリオーノフの妻)が描いた“あんずの収穫”。横向きの農婦が着ている赤の衣装と異常に大きい腕と足が目に飛び込んでくる。そのプリミティブな人物描写と農婦の左右に鮮やかな黄色のひまわりを配する色彩構成力に息を呑んで眺めていた。

ネオ・プリミティブのコーナーにあった絵では、インパクトのある目が印象深いグリゴーリエフの“女(連作・親密より)”と強い色調で描かれた横長の大作、レントゥーロフの“女たちと果物(モデルたちと共にいる自画像)”に足がとまった。

真ん中はお目当てのマレーヴィチの作品“農婦、スーパーナチュラリズム”。これはシュプレマティズム絵画のあと、再び具象画へ回帰した作品で、第二の農民シリーズの一枚。農婦の背景にみえる斜めにのびた赤や黄色、緑の鮮やかな色面はシュプレマテイズムそのもので強い躍動感に溢れている。白と黒で交互に彩色された顔のない農婦はどこかレジェが描く人物のイメージ。

サイボーグ的なこの絵と較べると、目鼻のある“刈り入れ人”のほうが緊張することなく見れる。2点あったスプレマティズムの絵“白い/黒い十字架”はMoMAでみたものと較べるとあまり心に響かない。抽象美をすごく感じられる作品を期待したのだが。

下は斜めにゆがんだ構図のため、あまり長くは見てられないが大変惹かれたドミートリエフの大作、“サーカス”。奥行きのある画面構成とドイツ表現主義のような人物表現に思わず見とれてしまった。

新しい美術館のコレクションだから、サプライズの作品がそれほどないのは当たり前といえば当たり前。でも、普段ほとんど見る機会がないロシア・アヴァンギャルドの作品のうえ収穫が数点あったから、◎とはいかないが○はつけられる。

|

« 08年後半 展覧会プレビュー | トップページ | 生誕290年 木喰展 ー庶民の信仰・微笑仏ー »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Bunkamuraのロシア・アヴァンギャルド展:

» 青春のロシア・アヴァンギャルド @BUNKAMURA [Art & Bell by Tora]
 モスクワ市近代美術館所蔵のロシア・アヴァンギャルド展。副題は「シャガールからマレーヴィチまで」。  初日の開館早々に入った。先着200名に展覧会のクリアファイル・プレゼントがあるためか、最初はちょっと混んでいたが、1時間もするとガラガラになってきた。  日本ではなじみのうすいロシアの20世紀美術だから当然であるともいえる。でもこの展覧会は、ロシア革命前後の激動の時代のロシア美術の勉強するにはちょうど良い機会。 Ⅰ-1 西洋の影響とネオ・プリミティヴ:   最初に出てくるのはゴンチャロー... [続きを読む]

受信: 2008.07.07 09:04

« 08年後半 展覧会プレビュー | トップページ | 生誕290年 木喰展 ー庶民の信仰・微笑仏ー »