« 美術に魅せられて! お気に入り美術本(日本美術) | トップページ | 三井記念美術館のNIPPONの夏 »

2008.07.22

驚愕する鈴木其一の朝顔図屏風!

433
435
434
琳派狂いとしては、どうしても見逃せなかったのが先週の新日曜美術館。江戸琳派の鈴木其一(すずききいつ)を特集してくれたのである。

過去、この番組は宗達や光琳など琳派の巨匠たちを何度となく取り上げてきたが、鈴木其一に単独でスポットを当てたのははじめて。いつも購入している“TV太郎”でこの番組を目にしたとき、一体どういう風のふきまわしかと思った。

現在、どこかの美術館で回顧展が行われているわけではないから、番組制作スタッフのなかに其一が好きな人がいて、“武蔵野美大の玉蟲敏子先生が其一が38歳のとき絵画修行のために行った旅の様子を克明に綴った日記(京都大学付属図書館蔵、TV初公開)について、いい論文をお書きになっているから、一度鈴木其一作品に焦点を当ててみない!”と提案したのかもしれない。

制作事情はどうあれ、番組は代表作の紹介とゲストの小林忠氏(学習院大教授)と日本画家、平松礼二さんの解説により、芸術家、鈴木其一の高い画才を浮き彫りにしていた。話の中心はいつか拙ブログでも紹介しようと思っていた“朝顔図屏風”(上の画像、六曲一双の左隻、メトロポリタン美蔵)。

この絵を14年前あった琳派展(名古屋市博物館)で見たとき、驚愕した!“朝顔の絵なのに、何を大袈裟な”と言われそうだが、、とにかくびっくりする絵なのである。この絵は04年、東近美であった琳派展にも出品されたから、ご覧になった方は一体、どこがびっくりするのかお分かりになると思う。

画面いっぱいに咲き誇る朝顔の花が澄み切った青で描かれ、しかも真ん中の白いところの底から光が幾筋も出ているのである。この透き通るような光の輝きがえもいわれず美しく、200%感動した。抱一の描く朝顔とか浮世絵、近代日本画で見る朝顔はさらっとみて終りだが、この其一の朝顔の前では何時間でもみていたい気持ちになる。これがメトロポリタンでなく日本の美術館にあれば鑑賞の機会が増えるのに。残念でならない。

真ん中は番組の前半に登場した其一の代表作“夏秋山水図”(根津美)の左隻で、右隻は拙ブログ06/6/14で取り上げた。これは東博でこの秋に開催される“大琳派展”(10/7~11/10)に出品されるので、再会がすごく楽しみ!

其一は多作の絵師。番組には出てこなかったが、風俗画もいくつか描いている。下はぞっこん惚れている“群舞図”。アメリカ人コレクター、プライスさんの自慢の絵で、東近美の琳派展と06年のプライスコレクション展(東博)に展示された。

プライスさんは日本ではまだ評価の低かった其一の作品にいち早く目をつけ、買いまくった。コレクション展には9点やってきたが、そのなかには“柳に白鷺図屏風”、“群鶴図屏風”、“漁樵図屏風”などの傑作が含まれている。小林教授が“朝顔図には視覚の楽しみ、造形の輝きがある”と言われていたが、其一作品に見られる近代絵画の香りがアメリカの日本美術愛好家を夢中にさせたのであろう。

どこかの美術館が鈴木其一の回顧展を開いてくれると嬉しいのだが。いつものようにミューズにお願いしておこう。

|

« 美術に魅せられて! お気に入り美術本(日本美術) | トップページ | 三井記念美術館のNIPPONの夏 »

コメント

こんにちは。ちなみに今メトロポリタンミュージアムで鈴木基一の朝顔の屏風が展示されています。ダコタアパートにお住んでいる知人のところにもNHKから取材が来て、ナカムラシドウがインタビューをしたそうでいずれながれるとおもいます。金曜日にMETに見に行きます。
(たまたま、NYにきていてブログみました。)

投稿: 竹内友章 | 2012.08.03 06:13

to 竹内友章さん
こんにちは。今、METに其一の朝顔が展示
されているのですか!あの目の覚める青と光を
またみてみたいですね。

最近はアメリカの美術館に心がぐっとむかって
います。

投稿: いづつや | 2012.08.03 18:54

こんにちは。私も去年NHKの鈴木其一の番組を見ました。その数日後、小田原の別荘に出かけた時にいつも通る路地でTVで見たような朝顔が咲いているのを見つけ驚いて下の写真を撮りました。今朝改めて再放送を見て、鈴木其一が染物屋の生まれという事を知り紺色の鮮やかさに納得したわけですが、朝顔の種類も色々ありますから実際に鮮やかな紺色の朝顔が江戸時代至る所にあったはずの写真のような垣根に絡んで咲いていたのかも知れません。番組では朝顔市に並ぶ鉢植えを取り上げ江戸庶民の朝顔に対する熱意を絵に込めたとか、構図が龍や鳳凰に見え、奇想とか狂気の様な事を言っていましたが、当たり前の風景を金屏風に描いたとも言えなくもないと思えてしまいます。私はあまり絵に詳しくありませんが、同じくTVでマネの笛を吹く少年が浮世絵の構図とか古い宗教画の背景の無い人物画にインスパイアされたのではないかという話を見た事があり、鈴木其一も京都に修行に出て寺社の古書画を学習した(by wiki)時に何かにインスパイアされたのではないかと思います。京都大地震の被害の残る寺社の土蔵を回り、大塩平八郎の乱に繋がる天保の大飢饉の時代に描いたとすれば非常におとなしく心休まる風景画という事にもなるのでしょうか?
ちなみに写真の垣根はリンク地図の真ん中の斜めの路地の途中で去年9月19日に撮影したものです。1週前辺りから咲いていたかも知れません。まあ、「とある路地の風景」という事で。付近は大倉喜八郎、山県有朋、松永安左ヱ門等、明治の偉人の別荘の佇む、小田原から箱根方面に一駅乗った箱根板橋という場所です。

http://3rdprelude.web.fc2.com/ASAGAO/120919020.JPG
http://3rdprelude.web.fc2.com/ASAGAO/120919021.JPG
地図
https://maps.google.co.jp/maps?q=%E7%AE%B1%E6%A0%B9%E6%9D%BF%E6%A9%8B&hl=ja&ie=UTF8&ll=35.248797,139.143136&spn=0.001273,0.002564&sll=35.673343,139.710388&sspn=0.32408,0.656433&brcurrent=3,0x6019a48a7ea800e5:0x9cf4acc63b730f40,0&hnear=%E7%AE%B1%E6%A0%B9%E6%9D%BF%E6%A9%8B%E9%A7%85%EF%BC%88%E7%A5%9E%E5%A5%88%E5%B7%9D%EF%BC%89&t=m&z=19

投稿: YAMAMORI | 2013.07.07 12:16

すみません。上記写真への直リンクはダメな様なのでURLをブラウザにコピペして開いて見て下さい。
また、google地図の短縮URLに訂正します。
http://goo.gl/maps/4HNvz

投稿: YAMAMORI | 2013.07.07 12:30

to YAMAMORIさん
心が軽やかになる朝顔の話をお聞かせいただき
ましてありがとうございます。目にしみる朝顔
の紺色をみるたびに其一の朝顔を思い出します。
この絵の素晴らしさを共有できたことを心から
嬉しく思っています。

今日の番組で山下氏は例のごとく受け狙いのつま
らないコメントをしてましたね、狂気とかなん
とか、辻さんの奇想ももういいですね。もう飽き
ました。

それにしても日本美術史家の世界は人材が薄い
ですね、若冲がまともにわかっていない山下氏が
大物ぶってTVに出てくるのは失笑ものです。
TV局の担当者もだいぶ質が低下してます。

私は琳派狂で其一の画才は本当にスゴイなと思って
ますから、へんな切り口で其一をいじくるなと
いいたいですね。

投稿: いづつや | 2013.07.07 23:30

先週のNHK日曜美術館(2013.7.7本放送 http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2013/0707/index.html) でMETの朝顔図屏風を見ました。東京江戸博でFeinberg Collectionの群鶴図を見たばかりだったので、どちらの鈴木其一の逸品も海外にある事を知りました。愛され大切にされていることは何よりです。画像を捜していて、貴記事を知りました。
私は京都在住(今まさに祇園祭で賑わっています)で、先週真如堂で見かけた唯一輪の朝顔の色が、この屏風の青に似ていたので、もしよかったらご覧下さい。(一輪だけなので、がっかりさせてしまうかもしれません。(^_^;))うまくリンクできるかわかりませんが、URLは → https://picasaweb.google.com/102526462288354606149/FeinbergCollectionNYMetropolitanMuseum#5898547503101300930
では失礼致します。

投稿: ママチャリ | 2013.07.10 14:22

to ママチャリさん
真如堂の朝顔、ありがとうございます。

其一の朝顔図に大変魅せられています。
昨年、BSプレミアムで放送された歌舞伎役者
の中村獅童が案内役となりこの絵を特集した
番組(美の饗宴)をみて、アメリカの美術
ファンの間で其一の朝顔が一番人気がある
ことを知りました。

其一の好きな人が日本でもふえると楽しいの
ですが。

投稿: いづつや | 2013.07.10 23:28

なるほど琳派って師弟関係だけじゃなくて時代や地方を隔てて伝染するんですね。現代のペンにまで?
http://news.mynavi.jp/news/2013/05/14/014/index.html
燕子花いいな。

投稿: YAMAMORI | 2013.07.11 21:30

to YAMAMORIさん
琳派の装飾性豊かな造形は柔らかくて流れる
ようなしなやかさはありますね。ペンの意匠に
琳派模様が使われるとついそれを使って書いて
みたくなります。

琳派の美意識のDNAが現在の手仕事の職人さん
たちにもちゃんと受け継がれているのがスゴイ
ですね。

投稿: いづつや | 2013.07.11 23:12

この前、偶然日曜美術館にチャンネルが留まり途中からなんとなく入ったら、その息をのむ朝顔図が鈴木其一の作を知りました。数年前函館に旅行した折、京都美術館所蔵品を偶然函館美術館で見ました。以来、鈴木其一の名前を知った。朝顔図、謎めいた絵です。
今日は根津美術館に行くと夏秋山水図が見られるのだろうかと思い、用事で乃木坂にいたので、そこから歩きましたが、たどり着くと入口に「休館」、27日から「曼荼羅展」とありました。青山墓地に沿って初めて歩き、障子1枚ほども大きい一枚石が見えたり、たまに珍しいエリアを歩けたのでいいかと思った次第。非常に蒸し暑かったですが。

投稿: natsu | 2013.07.26 22:04

to natsuさん
其一の朝顔は透き通る光がえもいわれず美しい
ですね。この装飾性と現実感に200%魅了され
てます。

根津美は今休館中ですか。それはお疲れ様でした。
ここにある夏秋山水図も傑作ですね。またみたく
なりました。根津美はここしばらく足が遠のいて
ますが、秋にあるやきもの展は出かけることに
してます。

投稿: いづつや | 2013.07.26 23:47

はじめまして
現在、開催されている鈴木其一展を見て、朝顔の青の表現、絵具の種類、そしてこの朝顔の種類などを調べていたらこちらにたどりつきました。

朝顔の青色の中に白く輝いて見えるものがあるなと思いながらそれに関する情報がないかと思っていたらこちらに。さらに、この朝顔はヘブリーブルーと呼ばれるヒルガオの仲間ではないかと思っていたのですが、それについても、コメント覧で話されているのを発見。

青の絵具については、日曜美術館の放送でOAされたことから理解していましたが、ゲストについては、いろいろなご意見があるものだなと思いながら、朝顔に関する情報をいろいろ集めていて、こちらのスレッドも、保管させていただきました。

http://tabelog.com/rvwr/000183099/diarydtl/144044/

差支えがあるようでしたら、お知らせいただければと思います。

投稿: コロコロ | 2016.09.22 09:50

to コロコロさん
差支えはまったくありません。鈴木其一の大回顧展
に遭遇したのは一生の思い出になりそうです。朝顔図
を部屋に飾りました。

投稿: いづつや | 2016.09.22 23:44

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/65878/41941415

この記事へのトラックバック一覧です: 驚愕する鈴木其一の朝顔図屏風!:

« 美術に魅せられて! お気に入り美術本(日本美術) | トップページ | 三井記念美術館のNIPPONの夏 »