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2008.06.06

五島美術館の近代の日本画展

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長らくご無沙汰していた五島美術館を訪問し、館所蔵の“近代の日本画展”(5/10~6/15)を見てきた。HPで出品作を見て出かけるかどうか迷ったが、未見で気になる絵が数点あったので、思い切って足を運んだ。最寄駅の上野毛は現在、改札口が工事中で前来たときと出口が違っていたので外へ出るのに面食らった。

出品作30点のうち半分近くが横山大観。残念でならないのがこの中に長年追っかけている水墨画の傑作“水温む”(みずぬるむ)が入ってないこと。国立新美であった大観の回顧展にもでてなかったから、これでまた見る機会が遠のいた。気長に待つしかない。展示してあるもので足が止まったのは、白い浜辺を背景に鮮やかな青緑の松の木を描いた“東海の浜”と富士山を大画面いっぱいにどんともってくる“日本心神”。

今回最も印象に残ったのが入り口すぐのところに飾ってある水墨山水画2点。上の狩野芳崖の“烟巒溪漲の図”(えんらんけいちょう)と橋本雅邦の“秋山秋水図”。芳崖の絵は11年前、岡山県立美であった“五島美術館の名宝展”で感激した作品。これはフェノロサの指導を受ける前の絵。この頃の芳崖の絵には西洋画の陰影などが取り入れられているが、全体的には狩野派の激しい筆法を使い、鋭く切り立つ崖に囲まれた渓谷を描いている。

左下の平らな岩のところにお供の童子を従えた高士がみえる。岩からでている松は濃い墨線で幹が描かれ枝振りのバランスがいいのに対し、岩々は先がとげとげしく突き出ており、その形は水晶の結晶に似ている。水墨画で感激するのは地や雲の白が輝き、墨線がくっきり目の中に飛び込んでくるときだが、この絵はまさに水墨画の見所がつまっている。はじめてみる橋本雅邦の絵も名品。秋の季節にみるともっと感激するにちがいない。

初見で収穫がもう二つあった。鏑木清方の美人画“紅葉を焚く”と真ん中の小茂田青樹の“梅さける村”。前回は上村松園の“月下美人”と“上臈の図”、清方の“雪”に魅せられたが、また清方のいい絵と遭遇した。これはまったくの想定外。こういうときは嬉しさが腹の底からこみあげてくる。

“梅さける村”の前では立ち尽くした。明るい色調と奥行きを感じさせる家の並びと点描風に描かれた紅白梅を左右に配する構成が実にいい。頻繁に訪問する山種美術館で小茂田青樹の作品をよくみるが、これは感激度ベスト3に入るかもしれない。

一通り見て部屋を出たとき、最後のサプライズがあった。入るときは気がつかなかった下の“愛染明王坐像”(重文、鎌倉時代、13世紀)。もとは鶴岡八幡宮愛染堂に伝わったもの。牙をむきだす憤怒の形相に思わずひるんだ。説明書きには東国地方における運慶様式の代表作とある。これはいい像を見た。

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