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2008.06.10

広重とマンテーニャのシュール感覚に驚愕!

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今日はおよそ結びつかない二つの絵の不思議な響き合いをご紹介したい。

美術館をまわっていると時々とんでもないサプライズの絵に出くわすことがある。大丸ミュージアム東京で開かれていた“四大浮世絵師展 中右コレクション”(4/25~
5/12)は閉幕間際に行ったので、記事にできなかったが、ここにびっくりする絵がでていた。もちろんはじめてみる絵。

それは歌川広重(1797~1858)の“平清盛怪異を見る図”。上は大判、三枚続の右と真ん中で、真ん中は一番左。体の中央で床に立てた刀をもち、庭のほうを見ているのは平清盛。ここは福原の殿舎。庭の雪の積もった築山や燈炉、松の木を何気なしに見ていたが、すぐここにはスゴイものが描かれていることに気づいた。築山は大きな髑髏に見え、松の葉に積もっている雪のかたまりは小さな髑髏々!

これはまさにシュルレアリスム絵画によくでてくるダブルイメージ。松の横にある細い木に目をやるとそれがさらに明確になる。幹と枝が5つの骸骨に変わっている。この髑髏や骸骨は平治の乱で平家に殺された源氏の武士。木の中から骸骨の姿で“おのれ、清盛!いつか復讐してやるからな”と呪っているのである。これは参った!

思わず、“ええー、広重がこんなシュールな絵を描いてたの?!”と心の中で叫んだ。そして、すぐ、一枚の絵を思い出した。ルーヴルでみた下のマンテーニャ(1431~
1506)が描いた“美徳の勝利”(部分)。これは1504年頃の絵で、左の盾と槍をもった知恵の女神ミネルヴァがヴィーナスと悪徳を美徳の園から追放する場面が描かれている。

ミネルヴァの後ろの暗い緑色をした木をよく見ていただきたい。まっすぐに立つ木が足と胴体が異様に引き伸ばされた女になっている。このダブルイメージにびっくりしたことは“ルーヴル その二”(2/26)で書いたが、日本の浮世絵でも同じような絵に遭遇したのである。340年の時を隔ててマンテーニャと広重が響き合っている!これはおもしろい。

16世紀のはじめに、シュルレアリスムのイメージを彷彿とさせる絵を描くマンテーニャの想像力にも驚愕だが、広重の骸骨も衝撃的。広重には体をいろいろ捻ってその影を障子にうつして石燈篭にみせる“即興かげぼかし尽し”のような戯画があるから、ダブルイメージも一連の遊び心から生まれたのだろうが、それにしても頭が柔らかい。同門の国芳の影絵やアンチンボルド風の寄せ絵から刺激を受けたのかもしれない。

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コメント

私も、平清盛怪異を見る図を見て驚愕したくち
です。
広重にはおどろおどろしさなど無縁だと思って
いたのですが、国芳以上の奇想の画家だったの
だと新しい発見をしました。

投稿: 一村雨 | 2008.06.13 05:57

to 一村雨さん
広重の髑髏と骸骨にびっくりしました。これを
見ながら一村雨さんと同じことを考えてました。

たまたまこのダブルイメージがマンテーニャの
絵と似てましたから、広重はもしかすると国芳
よりスゴイのではないかと。浮世絵は奥が深い
ですね。そして楽しいですね!

投稿: いづつや | 2008.06.13 23:09

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