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2008.06.03

ブリジストン美術館の岡鹿之助展

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ぐるっとパス(2000円、2ヶ月有効)を購入する際、元は充分とれるなとすぐ思い浮かべるのが企画展にも使える出光美術館と山種美術館。今回はブリジストン美術館で行われている“岡鹿之助展”(4/26~7/6、1000円)もOKだから、すごく得した気分。

岡鹿之助についてはよく知らない。これまで見た作品は両手くらいだし、どんな画家人生を送ったかについての情報は皆無。だから、画家のイメージとしてインプットされているのはここの常設展示でよく見る“雪の発電所”(真ん中の画像)とアンリ・ルソーと点描技法のスーラの画風がミックスされたような絵というくらい。

今回展示されているのは初期から晩年までの作品70点で、9のモチーフー“海”、“掘割”、“献花”、“雪”、“燈台”、“発電所”、“群落と廃墟”、“城館と礼拝堂”、“融合”ーにくくられている。初期の作品で印象深いのは建物の形に魅せられる“信号台”と明るい色使いや雲の形がルソーの“私自身、肖像=風景”(拙ブログ06/7/23)を思い出させる“セーヌ河畔”。

“掘割”で足がとまったのは左右対称の画面構成とスーラ風の柔らかい点描にとても惹きつけられる“運河”。風景画に較べると花の絵にはのめりこまない。それは点描の花の絵が馴染まないのと花びらが多すぎるため。これよりはどんと鮮やかな赤や紫、青をみせてくれるルドンの花のほうがいい。

6点あった燈台の絵はホッパーの絵(4/20)を思い出しながら、じっくり見た。とくに魅せられたのが背景に海と空が描かれたポーラ美蔵のものと上の“岬”に描かれた下北半島東北端にある燈台。下北の周りの建物を圧するほど大きくみえる燈台は白が輝いており、圧倒的な存在感がある。日本にもこんなすばらしい燈台の絵があった。

真ん中は岡鹿之助の代名詞ともいうべき“雪の発電所”。小さい頃、山でみた発電所はまさにこんな感じ。ぱっと見るときわめて平面的な絵だが、右の3本の柱を巧みに配置して奥行きをつくり、視線がすっと三角形の山の中央に走る水路にむかうようにしている。また、隣にある山の斜面と水路を斜め横から切り取った“山麓”(京近美)も画面に吸い込まれる絵。

“城館と礼拝堂”のコーナーでは、息を詰めて作品を見なければいけないような静寂な表現世界が広がっている。“礼拝堂”、下の“”水辺の城、“朝の城”、“館”が心を揺さぶる。点描はこういう建造物をま正面から描くときその魅力が一番引き出される。前面の水面に城が映りこんでいる“水辺の城”は東山魁夷の“フレデリク城を望む”を彷彿とさせる。

岡鹿之助はスーラのDNAを受け継ぎ、これをベースに独自のマティエールを生み出した。今年はスーラの点描画にどっぷり浸かっているから、こういう絵と遭遇するのもなにかの縁だろう。

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