江戸東京博物館のペリー&ハリス展
昨日の大田南畝展同様、江戸東京博物館の“ぺりー&ハリス展”(4/26~6/22)も関連史料を見るのが目的。今年は1858年(安政5年)に日米修好通商条約が結ばれてから150年にあたる。ここ数年、幕末史の本をとんと読んでないが、ペリーとハリスに焦点をあてた企画展となると、歴史好きとしてはつい足が向く。
展示されている国内外の博物館などの所蔵する史料は全部で250点。これらがわかりやすい6つのくくりでまとめられている。
序章 黒船前後~米国と日本の出会い~
1章 ペリーの来航から日米和親条約の締結へ
2章 日米の饗応と交歓
3章 ハイネの見た日本
4章 日米修好通商条約
終章 遺米使節の見たアメリカ。
前半で熱心にみたのが“サスケハナ号模型”(1/50)、日本語訳で読んだ“ペリー艦隊日本遠征記”(初版)、“阿蘭陀風説書”。嘉永6年(1853)浦賀沖に来航したぺりー艦隊4隻の1隻サスケハナ号の全長は78m。艦隊のまわりに浮かんでいる日本の小舟に較べるとやはり大きい。“たった四はいで夜も寝られず”がよくわかる。
以前から関心の高かった“阿蘭陀風説書”(重文、江戸東博蔵)をはじめてみた。これは近藤重蔵の遺品で、現存する唯一の原本とのこと。隣にある“阿蘭陀機密風説書”も興味深い。老中阿部正弘はペリー艦隊の動きをこうした別段風説書で知っており、この情報を島津斉彬ほか雄藩大名に極秘で流したが、具体的なアクションをとるにはいたらなかった。
上のようなペリー図がいろいろある。米国で描かれた肖像画や写真よりも、こちらのほうが格段におもしろい。当時の瓦版などのメディアは伝聞情報と既存の図版をミックスさせて種々なぺりーのイメージをつくりだした。前期に出ていたのは西郷さん似。これは実像に近いが、手の爪が長く鳥のように描かれている。
ペリー艦隊に随行した画家、ハイネが日本の風景や人物を描いた絵が今回、ミュンヘン国立民族学博物館から20点出品されている。真ん中はその一枚、“東海道の宿”。ほかは大きな江戸市中俯瞰図や富士山や下田の風景とか、火事や裁判の場面を描いたものなど。
浮世絵で目をひくのが一点あった。下の“東都名所見物異人 神田神社内 ふらんす”。中景で小さく描かれた町のひとたちが遠巻きに眺めている男女の異人さんの体が大きいこと。人々には彼らが怪物のように見えたのだろうか。幕末史はライフワークなので、今回の図録は貴重な資料。収穫の多い展覧会だった。
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