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2008.06.27

東博浮世絵エンターテイメント! 春信

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相変わらず東博の平常展に出品される浮世絵を見続けている。現在でている作品29点の展示期間は6/3~6/29。2月以降、西洋画の紹介に追われ、鑑賞した作品をアップできなかったので、本日は久しぶりの“東博浮世絵エンターテイメント!”

ここへはもうかれこれ4年近く通っているから、鈴木春信のような重点鑑賞絵師は二周り目の絵にちょくちょく遭遇する。今回出ているのは“小野道風”(上の画像)、“見立伊勢物語(八つ橋)”(真ん中)、“舫い舟美人”(もやいふねびじん、重美、下)の3点。

春信の絵は中国や日本の古典文学にでてくる話とか歴史上の人物の逸話を題材にしたものが多いので、絵の楽しみにプラスαがある。“小野道風”はあの逸話“柳に蛙”を絵画化したもの。話を知らない人でも絵の中にすっと入っていける。柳に一生懸命跳びつこうとしている2匹の蛙は真剣そのもの。川岸には傘をさし、口を真一文字にむすんだ貴族がいる。この男が平安の能書家、小野道風。

“俺は今、書の手習いに行き詰まっているが、蛙も柳の葉につかまるのになかなか苦労しているなあー。でも、この蛙たちは俺みたいに気が萎えることもなく黙々と跳んでいる”。数度のチャレンジの末、首尾よく柳に跳び移った蛙をみて、小野道風は“もっと努力しないといけない!”と心を入れ替え、書の修行に再び精進する。春信は“見立小野道風”という絵暦も描いており、ここでは蛙は一匹で、道風は若い娘の姿に置き換えられている。

真ん中の“見立八つ橋”はお気に入りの一枚。目を惹くのが腰をかがめて草藁の紐を締めなおしている若衆と菅笠を被り右足を一歩踏み出すポーズをしている女性。春信は菱川師宣同様、動きのある表現が大変上手い。動感描写の上手い絵師は観察力に長じているだけでなく、運動神経もよかったのではなかろうか。話が横にそれるが、クラシックの指揮者のクライバーはシャープで優雅な指揮ぶりで有名だったが、踊りもものすごくうまかったらしい。

動きのある人物表現とともに感心するのが八つ橋と杜若(かきつばた)の配置の仕方。ジグザグに曲がった八つ橋を全部見せてくれないので、見る者は画面からはみ出した部分を自分でイメージして、絵よりもっと広い空間を想い描く。こういう絵をみると浮世絵の画面構成というのはすごいなと思う。

下はチラリズム描写の効果がさらっとでている絵、“舫い舟美人”。これは画面をしっかり見ないとどこがチラリズムなのかわからない。右の舟から陸に上がろうとしている若い芸者の隣に膝下と腕が少しみえる。茶褐色の直方体は三味線を入れる箱で、これを運ぶ男(箱屋と呼ばれている)がチラッと描かれているのである。柳の下で後ろを振り返っている先輩芸者は“お玉ちゃん、宴席で旦那衆がお待ちだから急ごうか!”と声をかけている様子。

季節柄、山種の花尽くしのように、ここでも北斎の“牡丹に蝶”や勝川春湖の“杜若”などがあった。北斎が70代前半に描いた花鳥画に魅せられているが、この牡丹にもぐぐっと惹きこまれた。

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