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2008.06.05

川端龍子と修善寺展

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大田区にある龍子記念館を訪ねるのは今年に入ってからは2度目。現在、ここで開館
45周年を記念する特別展“川端龍子と修善寺”(5/17~6/15)が開かれている。入館料は500円しかとらない(通常はもっと安く200円)。今回は記念展なので、図録
(500円)も用意されている。作品の数はいつもと同じくらいの22点。館蔵は6点のみで、あとは龍子にとって第二のふるさとである修善寺の旅館や個人、伊豆市が所蔵しているもの。

伊豆市は川端龍子だけでなく、横山大観、安田靫彦、前田青邨、今村紫紅などの作品を持っていることで知られており、うわさ通りのいい絵が全部で10点出ていた。龍子は5点あり、上は回顧展などによく出品される“湯浴(湯治)”。湯に足をつけている女性に視線が集まるように湯場を囲う板を角々させて配するところが巧み。湯船の向こうには鯉と金魚が泳いでいるのがみえる。

記念館がもっている作品の目玉は真ん中の“龍子垣”と“逆説・生々流転”。“龍子垣”は大好きな絵。なんとも存在感のある竹垣である。そのオブジェのようなフォルムは現代アート感覚。この修善寺産の太い孟宗竹とコラボさせているのが右の白梅と左の藤。本来なら一緒にはありえない梅と藤がここでは自然に竹と溶け合っている。これをはじめてみたとき、すぐ頭をよぎったのが生花アーティストの川瀬敏郎の作品。さらに驚かされるのがこれを龍子は75歳のとき描いたこと。亡くなる5年前である。

龍子は西洋画からスタートした画家なので、シュルレアリストが描くようなダブルイメージの作品があったり、また琳派風の華やかな様式美をみせたりと作域がとても広い。この絵は修善寺に建てた別荘“青々居”の玄関先に造られた竹垣を画題にして描かれたものだが、当時の写真が図録に載っている。龍子は建築のほうに進んでいたら、すごい建築家になったかもしれない。

“逆説・生々流転”の本歌は横山大観の“生々流転”。昭和33年(1958)9月22日、伊豆半島を襲った台風の爪痕に想を得て制作された。まず、台風が発生する南洋諸島の風景からスタートする。ワニ、サメ、エイがおり、亀やトビウオもいる。やがて低気圧は台風になり、日本列島に進んでくる。巨大なエネルギーをもった台風は川を氾濫させ、家々は濁流にのまれ、人々は木につかまったり、屋根の上に逃れている。台風が過ぎ去ったあとはすぐに復興へ向けた作業がはじまる。

下は2年前あった前田青邨の回顧展でみた“騎馬武者”(伊豆市蔵)。これは青邨が得意とする歴史画の代表作のひとつで、源平合戦期の騎馬武者たちが松林のなかを進むところが描かれている。先頭で疾走する馬の姿態や右にかなり傾いた松の幹をみると、武者たちが相当のスピードで馬を走らせているのがイメージできる。流石、青邨という感じ。

記念館にある作品は1月の鑑賞でほぼ終了しているから、ここはしばらくお休み。

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コメント

僕も今日行ってきました!
いづつやさんはお車で行かれたのでしょうか?
駐車スペースがちょっと問題ですね。
なぜ伊豆かというと修善寺の新井旅館の御主人が画家たちとつきあっていたからなのですね。
「逆説、生々流転」など江戸東京の回顧展で目にしたものと再会できてとてもうれしかったです!

投稿: oki | 2008.06.07 22:15

to okiさん
ここへはいつもJR大森駅&バスです。駐車スペース
が狭いので“バックで出てください”と書いてあり
ますね。

新井旅館に行ってみたくなりました。伊豆は昔から
文人、画家などと縁が深いところですね。伊豆市に
は今回は出てませんが前田青邨や小林古径のいい絵
があります。

龍子の大きな絵がみたくなったら、また出かけよう
と思います。

投稿: いづつや | 2008.06.07 23:30

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