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2008.06.13

エミリー・ウングワレー展 アボリジニが生んだ天才画家

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記事の組み合わせの関係で取り上げるのが遅れたが、今、国立新美で行われている“エミリー・ウングワレー展”(5/28~7/28)は開幕の日に見た。以前アボリジニの砂絵をTVでみたとき、その鮮やかな色彩にとても魅せられた。だから、この展覧会の情報を得たときから開幕を心待ちにしていた。

チラシで顔を見るまではウングワレーおばあちゃんのことはまったく知らなかったし、作品も見たことがない。1910年ごろオーストラリア中央の砂漠地帯で生まれ、1996年に亡くなったという。制作の過程を知れば知るほど、ウングワレーの天才ぶりにびっくりさせられる。カンヴァスに絵を描きはじめたのは1988年からで、その後の8年間で
3000点も制作する。その中から今回120点余りが展示してある。オーストラリア以外で大規模な回顧展が開催されるのははじめてらしい。

作品は欧米の作家や日本の草間彌生らが描く抽象絵画となんら変わらないし、大画面のものが多いから、展示スペースが広いこの美術館はうってつけの展示空間かもしれない。初期のバティック(ろうけつ染め)、カンヴァス画が7つの切り口でくくられ、ユートピア・ルームと名づけられたコーナーには小さな木のつくりものが飾られている。

“点描”のところに展示されている作品が最も多く、33点。いろいろなヴァージョンがある。使われている色は白が一番多い。そして、白の点のなかにさらに土色や赤茶色の点をおいたりして多様な点をつくりだしている。また、画面全体がびっしり点描で埋まっているもののほかに、点のなかに象形文字のような線が見られる作品もある。とくに惹きつけられたのが“アルハルクラの故郷”、上の“雨の後”、“カーメ 夏のアウェリェⅠ”。

これらの前では草間彌生の作品(拙ブログ05/6/22)のイメージと較べながら眺めていた。こういう模様はウングワレーが毎日目にする砂、岩とか植物や大トカゲ、エミューなどから霊感を得て生まれてくるのだろうが、“雨の後”では均質の点で構成される一つの模様が無限に繰り返されるのではなく、黄色や赤や緑の点の響き合いにより生まれる模様が上下、左右に変容しながら動いている感じ。

“色彩主義”にある作品では、画面は細かな泡が連続するような形でつくられる色面で構成される。見ごたえのあるのが22枚から成る“アルハルクラ”や緑が印象的な大作、“大地の創造”。アボリジニの大地の生命力が鮮やかな色彩パワーで表現されている。真ん中の強烈な赤が目にしみる作品をみているとクプカの絵(04/12/6)を連想した。

下は長い時間見ていた“ビッグ・ヤム・ドリーミング”。これは巨大な絵。縦2.9m、横8mある。黒地にヤムイモの根をイメージさせる白い網の目が画面いっぱいに描かれている。白い線の伸び方、曲がり方とか線と線の絡みにきまったパターンはなく、局所々のフォルムに強く引き込まれる。

抽象絵画の楽しさが存分に味わえるすばらしい展覧会だった。ウングワレーに嵌りそう。
なお、6/14~16まで拙ブログはお休みします。

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