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2008.05.22

その三 フェルメール

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フリック・コレクションを訪問する人が年間どのくらいいるのかデータ的なことはわからないのだが、フェルメール(1632~1675)の絵を目当てにやってくる人が結構多いのではなかろうか。メトロポリタンが5点(拙ブログ5/8)所蔵していることだってすごいが、美術館の規模ではメトロポリタンの何十分の一のこの邸宅に3点もあるのだから驚き。フリックの高い鑑識眼にはまったく恐れ入る。

上は“仕官と笑う女”。フェルメールは女性のいろいろな表情を描いている。多いのはじっとこちらを見ているところを描いたもの。“青いターバンの少女”(07/10/6)や下の“中断された音楽の稽古”など8点ある。この絵の女性は笑っている。この笑顔がすばらしい。女性画を沢山みてきたが、笑っている女性で200%惚れているのはこの絵とルノワールが描いた“田舎の踊り”(2/18)、“女優ジャンヌ・サマリの肖像”(エルミタージュ美)。

フェルメールの絵のなかにはもう一枚、女が笑っているようにみえるのがある。まだお目にかかってないが“青いターバンの少女”と同じくらい魅せられている“真珠の首飾りの女”(ベルリン国立美)。フェルメールに対する好感度がすごく高いのはこの親しみを覚える3枚の絵があるから。

真ん中の“婦人と召使”も好きな絵。フェルメールの絵には女主人と召使が登場する絵が3点あるが、これが一番気に入っている。召使の“奥様、手紙が届いているのですが。。”という声が聞こえてくるよう。これは舞台で演じられる芝居の一場面を見ている感覚に近い。

こういう絵をみると、フェルメールの描く風俗画はほかのオランダ人画家のものとはまったく別物だなと思う。写実的で現実らしい絵ではあるが、単なる風俗画とちがい、演出のテイストも効いているから、こちらもいろいろイメージをふくらませて見てしまう。女主人にとってこの手紙は特別の意味を持っているのだろうか?とか。

Myカラーが黄色&緑であるということもこの絵に近づけている。白い毛皮の縁取りがついた黄色の上着が目に心地いい。これとまったくデザインが同じベビー服のような上着を“真珠の首飾りの女”と“手紙を書く女”(ワシントンナショナルギャラリー)も着ている。

下の“中断された音楽の稽古”は“ワイングラスを持つ娘”(ヘルツォーク・アントン・ウルリッヒ美)と“ぶどう酒のグラス”(ベルリン国立美)と構成がよく似た絵。ころらを振り向く女性の目が気になって、楽譜を覗き込んでいる教師の存在はうすい。

フェルメールの全作品を通じていえることだが、描かれた男に目をとめることはほとんどない。できることなら居なくなって欲しいといつも思っているから、この絵でも女性のまなざしと窓から差し込むやわらかい光だけをみている。

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