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2008.05.19

その十六 ポロック  リキテンスタイン  ケリー

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近代美術の作品は2階の19世紀ヨーロッパ絵画の向こう側とその下の1階で展示してある。印象派の部屋と較べると見ている人はかなり少ない。この現象はどこの美術館でも同じ。抽象絵画より具象的でわかりやすい絵のほうが絵のなかにすっと入っていけるから、どうしてもこうなる。

図録をみて前回見逃した作品のなかから是非対面したいものをいくつかコピーしていた。数は多くないから、すべて見られるだろうと思っていたが、予想に反して30%くらいのヒット率。ステラ、ホフマンの幾何学的な絵がダメで、ホックニーの“富士山と花”もなかった。

現代アートはどんどん新作がでてくるから、展示する作品はとびっきり有名なのものでないかぎり固定できないのかもしれない。逆に面食らうほど沢山あったのが、クレー、デイビス、オキーフ。お気に入りのオキーフがこんなに楽しめるとは思ってもいなかった。

ポロック(1912~1956)の上の“秋の律動”や“パーシパエ”は前回みたときの記憶がすぐ戻ってきた。とくに“秋の律動”はポロックのアクション・ペインティングを代表する絵だから、忘れようがない。ドロッピングはとてもわかりやすい技法なので、この絵のように密でなければ自分でもやれそうなる気がする。これを見た多くの人はそう思うにちがいない。でも、行為するポロックの姿を記録した映像や写真をみると、このあさはかな考えはすぐ打ちのめされる。

黒、白、グレー、そして黄土色の線が互いに重なり、絡み合いながら、自由に踊っている感じ。具象を暗示させるフォルムには見えないし、絵の中心というか焦点がないのだが、この厚塗りの描線がぎっしり埋め尽くすオールオーヴァーな画面からは心の奥深くにあるとらえどころのない情感のうごめきとか、複雑系の自然現象をイメージさせるものが伝わってくる。いつかメトロポリタン、あるいはMoMAでポロックの回顧展が開催されることがあったら、万難を排して駆けつけたい。

真ん中はポップ・アートの旗手、ロイ・リキテンスタイン(1923~1979)の“外出”。拙ブログでも一度とりあげたリキテンスタイン(05/10/7)は大好きなアーティストなので、ワシントンナショナルギャラリー蔵の“積みわら”、“ミッキーマウス”とここの“外出”との対面を楽しみにしていたが、実際展示してあったのは“外出”のみ。

これは近現代の巨匠たちの名画などの画題を引用してポップアート風に描いたシリーズの一枚。明るい黄色で彩色し、太く明快な輪郭線で描かれた男女の奇妙な重ね合わせが目を楽しませてくれる。男性はレジェの絵からとり、女性はシュルレアリスムのイメージを使ってフォルムをつくっている。

このシリーズのなかには笑えるのがある。それはポロックのドリップ絵画をパロディ-化した“ブラッシュストローク”や“大きな絵”。また、昨年あったモネ展(国立新美)に出品された“ルーアン大聖堂”(サンフランシスコ近美)も見ごたえのある作品だった。

下のまぶしいほど鮮やかな色彩の絵はエルズワース・ケリー(1923~)の代表作“青・緑・赤”。ケリーやステラの絵にとても魅せられているのはフォルムがすっきりしていて色が輝いているから。輪郭がはっきりした青、緑、赤の色面の組み合わせは超シンプル。絵を見る楽しみは形態より色彩にあるから、このハード・エッジ・ペインティングの名作を夢中になってみた。

これでメトロポリタン美術館はおわり。明日からは最後となったフリックコレクションの珠玉の名画が続きます。

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