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2008.05.28

鎌倉大谷記念美術館特別展 東西の水辺の情景

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現在、鎌倉大谷記念美術館で行われている特別展“東西の水辺の情景”(4/1~
6/28)は開幕直後に出かけた。お目当ては心待ちにしていた鏑木清方の“道成寺・鷺娘”(双幅、上と真ん中の画像)。4年近くこの絵が登場するのをひたすら願ってきたが、やっと思いの丈が叶えられた。

この絵だけは特別扱いで畳のある部屋に飾られている。目が自然と吸い込まれるのが上の絵。桜が咲き誇る春爛漫のなか、眩しいほど鮮やかな赤の衣装を着た清姫を息を呑んで見た。赤の衣装に色の白い丸顔が映え、黒地がアクセントになっている帯には金の龍の模様が浮かび上がっている。ここ何年か清方の絵を追っかけてきたが、一人の女を描いたものとしてはこれが一番ぐっときた。

ご存知のように清姫は美しい僧、安珍に恋焦がれている。でも、安珍は熊野へ参詣する身だから、ここで恋の誘惑に負けるわけにはいかない。こういうときの男の対応は難しい。安珍は悩むのは嫌だから清姫とろくに話もしないで、逃げていってしまう。こうなると清姫は“なんで、こそこそ逃げるのよ。許さないからねー!”と可愛さあまって憎さ百倍。もう手がつけられない。

安珍が“ストーカー的な行為で言い寄られてくると困るんだよね、こちらの事情をちょっとは察してよ”と言たってダメ。道成寺の鐘のなかにもぐりこんだ安珍は大蛇に変身した清姫に焼き殺されてしまう。恋の情念はかくも激しい。白い化粧顔の清姫の内面では安珍に対する憎しみと怨みが渦まいている。

真ん中は白無垢姿の町娘に変化した鷺を描いた“鷺娘”。上から雪の積もった木の小枝がでているのはいいのだが、娘の体が手前を横切る木と後ろの木で挟まれているため、窮屈な感じがする。この“道成寺・鷺娘”と対面したので鏑木清方作品の追っかけはひとまずお休み。

今回、清方の弟子、伊東深水が描いた下の“若葉の頃”も展示されている。和傘を手にもつ女性のすらっとした立ち姿がなかなかいい。また、山々を背景にしたもみじ模様の着物や片輪車の意匠がはいったあでやかな帯にも惹きつけれられる。

ほかの日本画で足が止まったのは前田青邨の“紅白梅図”(拙ブログ06/4/12)と川合玉堂の風景画。西洋画では、ヨットが海面に浮かびすがすがしい朝の雰囲気が伝わってくるマルケの“ヴェニスの朝”、ホテルの黄色や赤い壁と澄み切った青い空が目にとびこんでくるデュフィの“ニースのホテル”に魅了された。

最後にご注意をひとつ。この美術館は鎌倉駅の西口から歩いて10分くらいのところにあるが、月曜だけでなく日曜も休館しているので、訪問されるときはお間違えなく!

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