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2008.05.15

徳川美術館の桃山・江戸絵画の美展

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名古屋にある徳川美術館で開催されている春季特別展“桃山・江戸絵画の美”(4/12~5/18)をすべりこみセーフで見てきた。徳川美術館は2年ぶりの訪問。前回みたのは源氏物語絵巻の原画や忠実な再現模写。

このたびの期待の絵は長いこと追っかけていた風俗画4点(すべて重文)。上の“本多平八郎姿絵屏風”、“歌舞伎図巻”、真ん中の“遊楽図屏風(相応寺屏風)”、下の“豊国祭礼図屏風”。これらが揃い踏みするのはめったにないので、見逃すわけにはいかない。

出品作はほかに円山応挙のいい鯉の絵、田中訥言の描いた明るい色彩が印象深い“百花百草図屏風”(重文)、そして追っかけリストに入れてある狩野山楽の華麗な金碧花鳥図“四季花鳥図屏風”、英一蝶の“雨降布袋図”などがあるから、見終わったあとは満ち足りた気分になった。

“本多平八郎姿絵屏風”は寛永年間に流行った文使い図のひとつで、上(左隻)は禿(かむろ、遊女見習いの少女)が差し出す文に振り返る若衆が描かれている。衣装の腰から下のフォルムが長壺のようでもあり、女性の着る裾が膨らんだドレスにもみえる。みてて気持ちがいいのが濃青地にリズミカルに施された小さな点線模様。

右隻に描かれた4人の女にも思わず見入ってしまう。左端の女は文を見せており、その前にいる女は首をかしげながらその文をみている。あとのふたりは三味線を弾く女と長い煙管で煙草を吸う女。その衣装の模様に魅了される。

風俗画では男や女が身につけている衣装の模様をみるのが大きな楽しみ。この斬新で凝った意匠をみると、近世日本の頃の人々はフォルムや色に対して今よりはるかに豊かな感性をもっていたことがわかる。これは本当に大事にしたい伝統文化である。

八曲一双の“遊楽図屏風”を夢中になってみた。先月静嘉堂文庫でみた“四条河原遊楽図屏風”(拙ブログ4/16)同様、細かいことろまで単眼鏡を使ってみると、この遊楽図ワールドの楽しさが体の中にしみこんでくる。真ん中は右隻の右上に描かれた屋外の宴の場面。上野公園における満開の桜の下で繰り広げられる宴会もタイムスリップするとこんな風になるのだろう。

この屏風には元気に風流踊りをしたり、そばを食べたり、カルタ遊びをやったり、能をみたり猿回しの見世物に興じたりとさまざまなエンターテイメントがでてくる。また、左隻には髪結いや蒸し風呂にはいっている場面も描かれている。期待通りの楽しい屏風だった。

岩佐又兵衛が描いたとされる“豊国祭礼図屏風”(六曲一双)をじっくりみるのはちょっと体力がいる。1604年(慶長9年)、秀吉を祀る豊国神社で開催された七回忌供養の祭礼の光景が描かれたこの屏風の迫力は半端ではない。

見所は左隻の風流踊り。下は三つある踊りの輪のなかの一つ。格子模様の赤い衣装を着た女の踊る姿は躍動感にあふれている。輪ごとに大きな傘が一本あり、その上にはトラや孔雀や松の木が描かれている。この風流踊りの余韻に今浸っているところ。

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