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2008.05.15

その十二 サージェント  ルノワール  ドガ

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いろいろある西洋画のなかで最も楽しい気分にさせてくれるのはギリシャ神話を題材にした絵、女性を描いた絵、モネの風景画、そしてシュルレアリスム絵画。すでにお気づきだと思うが、この名画紹介の多くが女性画。メトロポリタンにもお目当ての女性画がいくつもある。そのなかで重点鑑賞にしていたのが上のサージェント(1856~1925)の代表作、“マダムX”。

入館して真っ先にこれが展示してあるアメリカン・ウイングヘ行ったが、見当たらなかった。ここは現在工事中のため、2階の19世紀ヨーロッパ絵画のところで展示中とのこと。で、見る順番はだいぶあとになった。縦2mちょっと、横1.1mの大きな肖像画である。隣にもこれよりひとまわり大きい“ウィンダム家の姉妹たち”が飾ってあった。リストにはもう一点、図版でみてもすごく魅了される“バラを持つ婦人”をコピーしていたが、これはなかった。

黒のドレスでいっそう引き立てられるモデルの白子のような白い肌とノーブルな横顔に言葉を失う。この絵が引き起こしたスキャンダルの話はインプットされているから、ほかの女性画よりは目に力が入る。サージェントは憧れのマダムX(マダム・ゴートロー)にもともと、右肩のひもを落としてポーズさせていた。カットの深いドレスで肩のひもを落とした絵が保守的なパリのサロンですんなり受け入れられるはずがない。“退廃的だ、挑発的な姿勢だ”と非難轟々だったので、サージェントは仕方なくここの部分を描き直した。

短期間のうちにすばらしい子供の絵(拙ブログ2/104/22)、ロンドンのテート・ブリテンにある“マクベス夫人に扮するエレン・テリー”、そして“マダムX”と対面し、肖像画家サージェントの高い技量に深く感服した。いつか大回顧展と遭遇することを夢見ている。

ここにあるルノワール(1841~1919)は“シャルパンティエ夫人と子供たち”などの傑作をすでに鑑賞済みだから、脈拍数が一気にあがることはなかったが、想定外の真ん中の“カティース・マンデスの娘たち”の前では200%KOされた。手元の画集ではこれは個人蔵となっているが、ここに寄贈されたのだろう。

なによりもびっくりするのが女の子の顔や手足と身につけている衣服の白の輝き。すこし離れてみてもその明るい白がくっきり見える。大げさにいうと光を周囲に発している仏さんの絵を見ているような気分になった。ルノワールの絵を1月からの美術館めぐりで沢山みたが、絵の明るさという点ではこれが一番すごかった。もう一点魅了されたのがやわらかい筆のタッチと明るい色彩で女性美を描いた“沐浴する若い女”(レーマンギャラリー)。これは裸婦図ではお気に入りの一枚。

ドガ(1834~1917)のコレクションはオルセーと質量とも遜色ない。画集に載っている“コレクター”、下の“菊の花と女”、オルセーにあるのとよく似た構成の“ダンス教室”、“婦人帽子店にて”、“ソファーで髪をすいてもらう女”などの名画が続々と現れる。また、ブロンズ彫刻“グランド・アラベスク”、“右足の踵を見る踊り子”などもある。

“菊の花と女”でハットするのは浮世絵から得た大胆な構図。ヨーロッパ絵画の伝統をおよそかけ離れて、花を中央におき、女は画面右端に描かれている。構成は浮世絵の影響を受けているが、外をぼんやりみている女の描き方はドガ特有のもので、‘アプサント’の女性同様、内面の深い孤独感がみてとれる顔の表情が心を揺すぶる。

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