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2008.05.17

その十四 スーラ  ゴーギャン

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メトロポリタンにあるスーラ(1859~1891)の“サーカスの客寄せ”(上の画像)を見るのは三度目。今回は念願の“グランド・ジャット島の日曜日の午後”(シカゴ美、拙ブログ4/4)をじっくりみて、点描技法を目に焼きつけたあとだから、この絵は以前より深く味わえる。

描かれているのはサーカスの団長(右の横向きの男)がこれからはじまるショーのプログラムを紹介している場面。団長のむこうに見えるのが切符売り場。画面の下に描かれた観客は右端のほうにいるものがもう売り場に向かっている。“グランド・ジャット島”では人物の大半が横向きで左のほうを眺めていたのに対し、この絵では譜面台の向こう側で横一列に並んでいるブラスバンドと壇上にいる道化の格好をしたトロンボーン奏者は真正面を向いている。

この奥行き感のない平面的な描写が強く印象に残る。斑点は光の色を表す橙色と青が多い。青白くて暗い色調の画面のせいで、陽気なサーカスの前口上の場面なのに、不自然なくらい寂しい感じがする。スーラの絵は“ブランド・ジャット島”を目の中に入れたから、済みマークがつけられる。あとはクレラー=ミューラー美術館にある“シャユ踊り”やいくつかある海洋画と遭遇するのを気長に待ちたい。

今回の美術館めぐりで収穫の多いのがロートレック、ドガ、ゴーギャン。メトロポリタンにあったゴーギャン(1818~1903)でお気に入りは真ん中の“イア・オラナ・マリア(マリアを拝す)”、下の“昼寝”、そして“赤い花と乳房”。ゴーギャンがタヒチに渡った年に描かれた“マリアを拝す”をエルミタージュにある“果物を持つ女”(06/11/3)とともにこよなく愛している。平板な青や紫、黄色の帯で描かれた地面の装飾的な配色にまず驚くが、子供を肩の上に乗せている顔立ちのいい健康的なタヒチの女にも魅せられる。憧れの楽園にやってきたゴーギャンのハイな気分がそのままでているような作品である。

レーマンギャラリーにあった初見の“昼寝”には200%参った。喜びが溢れ出た鮮やかな色彩にもうクラクラ。これは手元にある画集でよくみていたが個人蔵となっているから、チェックリストには当然入ってない。その作品が目の前に現れたのである。ゴーギャン作品のなかではこの絵の色彩が最も強烈かもしれない。とくに、右の寝そべっている女が着ている服の赤と左の女のピンクの輝きがすごい。そして、ぐっとくるのが背中を向けて横座りをしている女の対角線的な動き。

初見の絵としてはシカゴの“神の日”、ワシントンナショナルギャラリーの“自画像”に魅了されたが、この絵のインパクト度は数倍。一生忘れることのない絵になりそう。

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