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2008.05.26

茨城県近代美術館の175/3000展

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荒川豊蔵の回顧展をみるため茨城県陶芸美術館を訪問したので、そのあと、北関東自動車道を利用すると30分くらいで到着する茨城県近美に寄り、4/19から昨日までやっていた開館20周年記念の所蔵作品展“175/3000”を見てきた。タイトル名は館が所蔵する3000点をこえる作品のなかから175点を選りすぐったという意味。これだけ多くの所蔵の名品を展示するのははじめてのことらしい。

この美術館は昨年、加山又造展でやって来たので、展示室の導線は頭に入っている。Ⅱ章“横山大観と五浦の画家たち”から“見るぞ!”モードになった。大観は“水国之夜”、“春曙・秋夜”など5点あったが、いずれも見たことのある絵だから、さらっとみて、上の木村武山の“阿房劫火”(あぼうごうか)に多くの時間を割いた。これはいつか見たいと思っていた絵。秦の始皇帝が造営した“阿房宮”が紀元前206年、楚の項羽に攻められて炎上する場面である。“史記”によると3ヶ月間も燃え続けたという。

どす黒い煙が左下から斜めにもくもくと立ちのぼり、金色の線がくっきりみえる宮殿の屋根や柱が燃え上がる炎につつまれている。ボストン美が所蔵する“平治物語絵詞・三条殿夜討巻”に描かれた紅蓮の炎にも圧倒されるが、この絵は画面全部が炎につつまれているから、ただ見ているだけで脈拍数が上がっていく。歴史画の傑作である。

Ⅵ章に今回のお目当て、小川芋銭(おがわうせん)の作品が展示してある。全部で11点。真ん中の絵は長らく追っかけていた“狐隊行”。やっと見ることができた。狐火をくゆらせながら10匹の狐が湖畔を行進している。この横からのシルエットに限りなく魅せられていた。前から4番目は背中に子狐を乗せている。狐のむこうに広がる水面、一直線にのびる対岸、右の大きく曲がる道と構成が憎いくらい上手い!

ユーモラスな絵は隣にもある。芋銭お得意の河童やイモリ、カワウソ、ナマズなどが描かれた“水魅戯”。小川芋銭が住んでいた牛久にある沼の水の精、“水魅”は渦巻き水煙のなかを自由に戯れている。また、“春日遅々(魚鳥と童子)”もほっとする絵。橋の上から釣り糸をたらしている男の子を二人の子が囲み、後ろには幼い女の子が反対側に顔をむけてちょこんと座っている。これを見れたのは大収穫。

下は小杉未醒が描いた“楽人と踊り子”。踊っている女のふっくらとした顔と腰から下のボリューム感に釘付けになる。出光美にある“天のうづめの命”(拙ブログ06/11/22)や日光の記念館にある作品をみて、小杉未醒が少し近くなったから、この絵にも体が敏感に反応する。ここに未醒のこんないい絵があるとは想定外。それほど長くはいなかったが、満ち足りた気分で館をあとにした。

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コメント

つくばに来てからすっかりご無沙汰しているリセです。
この美術展、私も先日行ってきました。
過去の美術展のポスターを見て、「茨城県美、なかなかやるはぁ~」
と思い、これからが楽しくなってきました。
木村武山の“阿房劫火”は、私も広島でレプリカを見て以来
ずっと気になっていた絵で、今回実物をみることができ
とても感動した絵です。
小川芋銭の絵も初めてみたのですが、おとぎ話を見ているようで
とてもほのぼのした気持ちになりました。

投稿: リセ | 2008.06.02 23:30

to リセさん
ご無沙汰してます。つくばにおられるのですか!
つくばエクスプレスで秋葉原まですいすいでしょ
うから、展覧会を存分にみられますね。

芋銭の“狐隊行”をみるために茨城県近美に寄り
ました。この絵だけでなくいくつもありました
ので大満足でした。阿宮劫火は想定外でしたから、
なんだか得した気持ちです。この絵をみるといつ
も平山郁夫の“広島生変図”を思い出します。

投稿: いづつや | 2008.06.03 13:59

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