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2008.04.10

ワシントン・ナショナル・ギャラリー その一 ダ・ヴィンチ  ラファエロ  ヤン・ファン・エイク

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シカゴのあと訪問したワシントンでの観光は比較的ゆったりしていた。リンカーン記念堂、J・Fケネディが眠るアーリントン国立墓地、ホワイトハウス、国会議事堂など主要な観光スポットにあてる時間に余裕しろがあり、ワシントン・ナショナル・ギャラりーとスミソニアン航空宇宙博物館の見学時間は当初の3時間から4時間半になった。これは願ってもない理想的な鑑賞時間。

ここは18年前来たことがあるから、ナショナル・ギャラリーも航空宇宙博物館も既にみている。で、このツアーを申し込むときから航空博物館はパスして日本美術の宝庫であるフリーア美術館ヘ行くことを決めており、作品の鑑賞具合により時間配分を調整することにしていた。4時間半ももらったので、1時間をフリーアにあて、残りの3時間半をナショナル・ギャラリーに使うことにした。

最初に訪問したのはフリーアだったが、ナショナル・ギャラリーのほうを先に紹介することにしたい。鑑賞の順番としてはまず西館をみて、そのあと現代美術が展示してある東館へ移動するのが一般的なコース。前回も同じように動いたはずだが覚えているのは西館2階の天井の高い円形大広間とカルダーのモビールが上から吊り下げられている東館中央の広い吹き抜けくらい。展示室の導線やレイアウトはすっかり記憶から飛んでいる。

今回は無駄な動きをしないために部屋は番号順にまわった。これがやはり一番効率的。上は必見No.1の作品といっていいダ・ヴィンチ(1452~1519)の“ジネヴラ・デ・ベンチの肖像”。アメリカの美術館でダ・ヴィンチの絵をもっているのはここだけ。あのメトロポリタンにも1点もない。

はじめてこれを見たときそれほど感激しなかった。理由はこの女性が美しくなく、絵が小さいから(縦39cm、横37cm)。肖像画は人物の内面や個性が表現されていればそれで立派な作品だが、ルネサンス期の女性画としてはラファエロやボッティチェリが描くような温かみがありみずみずしい女性に心が動く。

ダ・ヴィンチの絵のなかで最も気に入っている“岩窟の聖母”(拙ブログ2/25)に登場する大天使ウリエルの美貌に較べると、この丸顔のジネブラはどうみても分が悪い。この絵で釘付けになるのは金髪の精緻な描写と遠景の青味がかった霞。また背景の水面にあたる光の捉え方からもダ・ヴィンチの高い技量がうかがえる。

真ん中はラファエロ(1483~1520)の“アルバの聖母”。ルーブルにある“美しい庭師”、ウフィツィの“ひわの聖母”、フィレンツェのピティ宮にある“小椅子の聖母”(05/1/4)と並び称される聖母像の傑作である。ラファエロの絵に目がないので、再会したのが嬉しくてたまらない。トンド(円形図)だから、人物と背景の景色のおさめかたがやさしくないのに安定的な構図で人間味のある柔和な聖母像に仕上げている。左で幼子イエスと聖母マリアをじっと見ている小童ヨハネの姿に限りなく魅了される。

この絵はもとはエルミタージュ美術館にあった。財政難からソ連が売りに出したのをこの美術館の生みの親であるアンドリュー・メロンが1931年、ほかの20点とともに700万ドルの巨費を投じて手に入れたのである。いまやアメリカの至宝。

下のヤン・ファン・エイク(1390~1441)の“受胎告知”(部分)もそのなかの一点。精緻な描写と鮮やかな色彩に心拍数が一気に上がった。驚愕するのがマリアに神の子を宿したことを告げる大天使ガブリエルの背中から出ている翼。まるで虹のよう。ルーブルの“宰相ロランの聖母”(2/27)で聖母に冠をかぶせようとしている天使の翼も同じ虹色をしているが、こちらの黄色、緑、赤、青のほうが断然鮮やか。ファン・エイクの絵を見るたびにいい気持ちになる。

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