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2008.04.19

ルオーとマティス展

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沢山ある展覧会の中で、開館○○周年記念特別展と銘打ったものはこれまでの経験からするとあまり期待を裏切らない。汐留にある松下電工ミュージアムは今年、開館5周年を迎える。ここで今、所蔵する自慢のルオー作品とパリ市立近代美術館のもっている作品などを展示した“ルオーとマティス展”(3/8~5/11)が開かれている。

ロンドン、パリおよびアメリカにある美術館めぐりをする際つくった名画必見リストのヒット率を画家ごとに見てみると、ルオーは“残念でした!”のグループ。7点のうち見れたのはテートモダンの“3人の裁判官”とポンピドーの“傷ついた道化師”の2点のみ。最も期待していたポンピドーの“ベロニカ”や“鏡の前の娼婦”、シカゴの“小人”、ボストンの“ピエロの頭部”と対面できなかったので消化不良の感が強い。でも、その気持ちをこの展覧会が少しやわらげてくれた。

ルオーの好きな絵は今回出ている“秋の終わり”のような宗教画ではなく、ピエロや女性を画面いっぱいに描いたものとか数人の裁判官を描いたもの。チラシをみて期待していたのが上の“娼婦ー赤いガーターの裸婦”(パリ市近美)。これは一度現地でみており、よく覚えている。画面全体に使われている青が女の白い肌を浮かび上がらせ、社会の底辺で刹那的に生きる娼婦の悲哀が切々と伝わってくる。

同じ色調で描かれている“タバランー騒々しい踊り”もすごくインパクトのある絵。腰に手をあて右足をピントのばし上に高くあげる姿に釘付けになる。“流れる星のサーカス”はお気に入りの版画。再会した“曲芸師”(拙ブログ05/2/24)をはじめ一点々足をとめて楽しんだ。

モローの教室でルオーとマティスが一緒に絵を学んでいたことは知っていたが、二人が50年間も熱い友情で結ばれていたという話ははじめて聞いた。先週の新日曜美術館で二人の間で交わされた手紙が紹介されていたが、相手を思いやるやさしい気持ちが文面のはしばしにみられ、深く感銘した。展覧会の情報が入ってきたとき、どうしてルオーとマティスなのか?だったが、二人をコラボさせる友情物語があったのである!

が、今回でているマティスの作品への期待は正直言ってあんまり高くなく、真ん中の“肘掛椅子のオダリスク”(パリ市近美)以外はそれほどぐっとこなかった。これは“赤いガーターの裸婦”同様、オダリスクの背景の鮮やかな赤や衣装の青が目に焼きついているのでしっかり記憶に残っている。ちなみに2点はパリ市近美の図録に掲載されている作品。

この絵よりもっと目を楽しませてくれたのが下の切り紙絵“ジャズ・ピエロの葬式”。04年にあったマティス展ではじめてみた“ジャズ”(04/12/9)はエポック的な鑑賞体験だった。また全点みれて体が熱くなった。

海外から作品を持ってくる西洋画の展覧会の場合、ぐっとくる絵が3点もあれば立派な企画展。常設展示の“女曲馬師”、“法廷”も一級品だから、充実したルオー展といえる。ここを見て、6月から出光美術館ではじまる“ルオー大回顧展”(6/14~8/17)にも出かけるとルオーの通になれることは請け合いである。

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