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2008.04.11

ウルビーノのヴィーナス展

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現在、国立西洋美術館で開催されている“ウルビーノのヴィーナス”(3/4~5/18)は開幕初日に見た。一月末以降国内で出かけた展覧会はいくつもあるのだが、終了したものは古新聞と同じだから取り上げないことにし、会期が残っているものについてだけ記事にしようと思う。で、この展覧会はタイミングをはかっていたところ。ちょうどワシントン・ナショナル・ギャラリーにあるティツィアーノの絵を紹介したので、感想をまとめてみた。

国立西洋美術館が企画する特別展への関心は本音をいうとあまり高くない。ここより昨年はフィラデルフィア美からマティスやクレーの傑作をもってきてくれたり、この8月からフェルメールを7点も展示してくれる東京都美のほうに倍くらい期待している。

さて、ウフィツィ美からやってきたティツィアーノの上の“ウルビーノのヴィーナス”の人気はどうだろうか?東博で昨年展示されたダ・ヴィンチの“受胎告知”の1/3くらいではないかとみている。間違っている?ルネサンス絵画の鑑賞をライフワークにしているから、この絵に対する関心はそれなりにあり、過去3回のウフィツィ訪問でしっかり目に焼き付けている。客の流れでいうと、この絵の前に大勢の人がいるということはなく、ボッティチェリやダ・ヴィンチ、ラファエロの名画と較べるとかなり淋しいというのが実情。

絵画史の点からいうとこの横たわるヴィーナスは大変な意味をもっているが、それと絵そのものの魅力は別。横たわるヴィーナスをはじめて描いたジョルジョーネの“眠れるヴィーナス”と“ウルビーノ”を較べてどちらが好きかと問われたら、躊躇なく“眠れるヴィーナス”のほうに手をあげる。これをドレスデン美術館で見たときは大変感動した。理由は単純明快。このヴィーナスがとても美しく感じられたから。

“ウルビーノ”は同じ横たわるポーズで描かれているが、このヴィーナスのこちらに投げかける視線はかなり挑発的。そう、これはベッドへ誘っている娼婦の目。当時、この絵はマグニテュード7くらいの衝撃度をもった裸婦図だったにちがいない。このヴィーナスはどうみても理想的な美もへったくれもない、街の楽しいところにいけば必ず見つかる多感な女性。

娼婦の匂いがする裸婦図はこの絵からはじまったといっても過言でない。この絵無くしてゴヤの“裸のマハ”もマネの“オランピア”も生まれてこなかった。だから、この絵については好みは横において、絵画の長い歴史を理解する上でとても大事な絵であるということを言い聞かせて見るようにしている。今回この絵のほかにでているティツィアーノ作品、“ヴィーナスとアドニス”、“キューピッド、犬、ウズラを伴うヴィーナス”は最初に描かれた絵のあと数多くつくられたレプリカの一つ。原画に較べるとすこし質が落ちるから、のめりこむほどではなかった。

さらっとみた絵画に対して、興味深くみたのがヴィーナスの彫刻。なかでも新鮮だったのがジャンボローニャのブロンズ彫刻。はじめてみた下の“跪き、身体を拭くヴィーナス”と“フィオレンツァ”に大変魅了されたので、像のまわりをぐるぐるまわってじっくりみた。初見の彫刻が収穫だったから、今回はこれで満足することにした。

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東京・上野の国立西洋美術館で開催されている「ウルビーノのヴィーナス」展を観てきました。いうまでもなくルネサンス屈指の女神であるティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」が今回の目玉です。副題として(小さく書いてありますが)、「古代からルネサンス、美の... [続きを読む]

受信: 2008.04.12 10:30

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