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2008.04.02

その九 ゴヤ  アングル  コロー

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ルーヴルの広い館内を休むことなく動き回り、最後に向かったのがドノン翼2階の端っこにあるスペイン絵画のコーナー。入館してから4時間近くたっているのでだいぶ見疲れているが、目力を振り絞ってグレコ、ベラスケス、ゴヤの作品を見た。この3人の絵やムリーリョの“乞食の少年”、リベラの“えび足の少年”は前回しっかりみたからここにある作品はリストには載せていない。

昨年訪問したプラド美術館と比べると数では全然負けるが、質的にはいいのがある。お目当てはグレコの“キリストの磔刑”と上のゴヤ(1746~1828)が描いた肖像画“ソラナ侯爵夫人”。アルバ公夫人の友人であるソラナ侯爵夫人は37歳で死ぬのだが、この絵は死の数ヶ月前に描かれた。

はじめてルーヴルにきたとき、この美しい肖像画に200%KOされた。ゴヤは“裸のマハ”のような衝撃的な絵も描いたが、こうした心に響く女性や子供の肖像画を何点も描いている。灰色と黒につつまれたこの夫人のやさしさと静けさにしばらくうっとりしていた。

真ん中はアングル(1780~1867)が26歳のとき描いた“リヴィエール嬢の肖像”。アングルというとどうしても体をひねった後ろ向きの女性の絵“ヴァルパンソンの浴女”や裸婦の背中が異常に引き伸ばされた“グランド・オダリスク”に熱くなるので、こういう肖像画は前回まったく気づかなかった。

女性の後ろの空を大きくとった遠景や画面下の暗い部分から浮かびあがる白一色の女性の優雅なまるい顔や体の豊かな曲線はダヴィンチやラファエロの肖像画をみているよう。目を奪われるのが黄土色の手袋と白い毛皮の上品な質感。15歳のリヴィエール嬢は病に冒されまもなく亡くなるというので、アングルは少女を思いやり精一杯美しく仕上げたのであろう。この絵をMy好きな女性画に即登録した。

シュリー翼3階でコロー(1796~1875)の絵を沢山見た。この画家については、見たい度がとくに高かったわけではないが、前回しっかり見たという意識が薄いので、リストには画集に載っている作品を何点も貼り付けていた。国内の美術館でもコローの絵を見ることは結構あるがすごく魅了されたという経験があまりないのに、ここにある絵は違った。風景画でも女性の肖像画でもぐいぐい絵のなかに惹きこまれていく。

3,4年前みたBS2の“ルーヴル名画100選”で、学芸部長がフランスの家庭で飾られることの一番多い複製画として紹介していたのが下の“モルトフォンテーヌの思い出”。しばらくながめていて、その理由がわかるような気がした。陽光が少なく、湿度の高いフランスの風景は霧につつまれたような感じだから、コローの灰色や銀灰色で詩的に描かれた世界はフランスの人々にはとても心地がいいのであろう。

6月、上野の国立西洋美術館で“コロー展”(6/14~8/31)がはじまるが、一足早く対面しようと思っていた“真珠の女”は残念ながら展示してなかった。今、どこにあるのか聞いてみると、“ナポリに貸し出し中。そのあと東京へ行くよ!”とニコッとされた。楽しみは一つ消えたが、“青衣の婦人”や“ナルニの橋”、“シャルトル大聖堂”、“ボーヴェー近くのマリセルの教会”などがみれたので大満足。コローにすっかり嵌ってしまった。回顧展が待遠しい。

ロンドン、パリの美術館巡りにおつきあい頂きまして、誠に有難うございます。途中、思わぬPCトラブルで一ヶ月も中断しましたが、ようやく完結できました。取り上げました名画を皆様と共有できたことを喜んでいます。さて、明日からは第2弾のアメリカ編をはじめます。よろしかったらまた、お越し下さい。

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