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2008.04.11

その二 ジョルジョーネ  ティツィアーノ  グリューネヴァルト

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ナショナル・ギャラリーの館内をまわっていると、ヨーロッパの美術館にいるような気がしてくる。とくにイタリアルネサンスの部屋では質の高い作品が沢山あるのでテンションはプラトー状態のまま。ダ・ヴィンチやラファエロのほかにもジョットの“聖母子”、フラ・アンジェリコとボッティチェリの“東方三博士の礼拝”などを見せられるともう“参りました!”というほかない。質量ともにアメリカの首都にふさわしい美術館と高い評価をうけているのも即納得である。

ルーヴルでもロンドンのナショナル・ギャラリーでもヴェネチア派の名画をいくつも揃えているが、ここでも画集に載っている有名な作品がここにもあそこにもあるという感じだった。上はジョルジョーネ(1478~1510)の代表作のひとつ“羊飼いの礼拝”(部分)。生まれたばかりのキリストを囲んで聖母マリアとヨゼフ、2人の羊飼いが敬虔な祈りを捧げている。

惹きつけられるのが動きのある羊飼いの描写。逆にちょっと引いてしまうのが5人の頭上を飛んでいるあの胴体がなく頭と翼だけの天使。宗教画にはよくこの手の天使が登場するがこれは苦手!画面左上にみえる遠景のうす青の空はとてもきれいなのだが、風景の中に描かれた人物はなぜか極端に小さい。この絵の隣にあった力強い個性がその鋭い目つきから直に感じられる男の肖像画にも足がとまった。

必見リストに何点も載せているティツィアーノ(1485~1576)はロンドン、パリに続いてワシントンでも収穫が多かった。二重丸をつけていた利発で気品のある風貌の少年、ラヌッチョ・ファルネーゼを描いた肖像画は期待値以上にすばらしかったし、威厳のある枢機卿や総督を描いたものにも心を奪われた。さらに目を楽しませてくれたのがティツィアーノが70歳のころ描いた真ん中の“鏡を見るヴィーナス”。クピドのもつ鏡に上半身を映すヴィーナスがなんとも美しく官能的!

この絵のモデルはすこし前に描かれた“ダナエ”(プラド美、拙ブログ07/3/23)とよく似ている。すでにMy好きな女性画に登録されている“ダナエ”のいい相方ができた。また、これまで見たことにないミケランジェロ風の短縮法で聖人ヨハネが描かれている天井画“パトモス島の福音書記者聖ヨハネ”と対面したのも大きな喜び。

グリューネヴァルト(1475~1528)の下の“磔刑図”は美術の本に必ずでている代表作“イーゼンハイムの祭壇画”の縮図みたいな絵。ドイツにある絵を今後見る機会は多分ないだろうから、これは貴重な鑑賞体験。それにしても残酷な磔刑図である。荊で破れ血を流し腫れ上がったキリストの肉体はリアルすぎてあまり凝視はできない。一度、ウイーンの美術史美術館でクラナッハが描いた同じような磔刑図をみたが、これほどサディスティックで痛々しくはなかった。

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