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2008.04.15

その六 マネ  ルノワール  モネ

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シカゴ同様、ここの印象派コレクションも充実しており、画集に載っている名画が続々と現れるので次第に興奮してくる。狙っていた作品の8割くらい見れたので2度目の鑑賞としては上出来である。大好きな印象派だから、前回見た作品でも再会がすごく楽しみ。なかでもワクワクするのが上のマネ(1832~1883)の“サン・ラザール駅”。

18年前この絵と対面し、マネの女性画に開眼した。以来マネの女性の絵に高い関心をもってみてきたが、依然としてこの絵がベストワンを保っている。ちなみにこれに続くのは05年にあった“ベルリンの至宝展”で出品された“温室にて”(拙ブログ05/5/3)と“フォリー・ベルジェールのバー”(ロンドン、コートールドコレクション)。

ルノワールが描く若い女性や無邪気な女の子がその明るい色彩と軽妙な筆使いで見る者を愉快で心地よい気分にさせてくれるのに対し、マネの女性像は見た瞬間、画面に惹きこまれるというのではなく、しばらく絵の前に立っているとじわりじわり、えもいわれる魅力に体全体がつつみこまれるといった感じ。これはドガの絵から受ける印象に近い。ドガの絵と較べてみると、マネは人物の輪郭をはっきり描き、色彩表現で白や黒を多くつかうといった点ではドガとは異なるが、顔の表情とか画面構成はドガと似たところがある。

この“サン・ラザール駅”の構図はとてもドガ的。本を膝におき、こちらをみている女性の横で少女が後ろ向きで鉄の柵につかまり、駅から出発する汽車の煙をながめている。こういう光景はすぐイメージできるが、かわいい女の子の顔を描かない構成には誰もがハットしたに違いない。生きる喜びを描きたいルノワールからはこんな絵は絶対生まれない。

マネの傑作はこの絵だけではない。ドガの“アブサント”を連想させる“プラム”とかベラスケスの影響が強くでている“悲劇役者”や“死せる闘牛士”、そして黒の衣装が一際目立つ“オペラ座の仮面舞踏会”に釘付けになった。前回は“サン・ラザール駅”に目が眩みすぎて、これらの作品がおろそかになっていたので、しっかり目にやきつけた。オルセーに次ぐ質の高いマネコレクションと遭遇できたことを心から喜んでいる。

真ん中はここが誇るルノワール(1841~1919)の名作、“じょうろをもつ少女”。頭に赤いリボンを結んだ少女が着ている衣装が豪奢なこと。少女を描いた作品ではこれとブリジストンにある“すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢”にたまらなく魅せられている。隣にあった“踊り子”は昨年のフィラデルフィア美展でみた“ルグラン嬢”と顔がよく似ているので、是非ともみたかった絵。

どうみてもこのモデルはルグラン嬢!大人っぽい美しさをたたえた踊り子に胸が高まった。でも、ドガの踊り子と違って足が太いのでちゃんと踊れるか心配になる。ほかでは初期の作品、古典画風の“ディアナ”やドラクロアの影響をうけて描いた“アルジェの女”と対面できたのも大きな収穫。

ここが所蔵するモネ(1840~1926)の絵で有名なのはなんといっても下の“日傘をさす女・モネ夫人と息子”。オルセーにある“日傘の女”(2/28)ではモデルの顔が描かれてないのに、妻カミーユと息子を描いた最初の絵では、顔の前に引かれた白い線の間からカミーユの大きくて可憐な瞳がみえる。しばらく息を呑んでみていた。さらに、“ヴェトゥイユの画家の庭”、“アルジャントゥイユの橋”とも再会できたから満ち足りた気分になった。

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