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2008.04.19

その二 ホイッスラーコレクションと孔雀の間

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フリーア美術館訪問の大きな目的は質の高い日本絵画を見ることだったが、もうひとつホイッスラー(1834~1903)の作品にも期待していた。フリーアはロンドンにいたこの20歳年上のアメリカ人画家と交流を深め、1200点の作品を手に入れている。それらは2つの部屋で展示されており、隣には“孔雀の間”(上の画像)がある。日本美術を見たあと早速興味津々の“孔雀の間”へ向かった。

これは元はロンドンの富豪の食堂。富豪がこの部屋に飾った“バラ色と銀・磁器の国の姫君”(真ん中)に合わせてホイッスラーが改築した。青く塗りつぶされた背景に装飾的に描かれている“二羽の金色の孔雀”(横長の絵)と“磁器の国の姫君”は向かい合う形になっている。そして、部屋の側面の一方には別のフォルムの孔雀が舞い、その向かい側には磁器の壺や大皿が飾ってある。

部屋をぐるっと見渡したあと体が自然とむかうのが日本の着物を着たエキゾチックな姫君。よく海外の日本フェアで現地の女性が着物姿になるときは日本から出向いている年配の方が着せてくれるから変な格好にはならないが、その立ち姿にはいつものこの姫君をダブらせてしまう。

“磁器の国の姫君”は19世紀後半から20世紀初頭にかけて西欧を熱狂させた“ジャポニスム”を象徴する絵。だから、ホイッスラーの絵というと、10年前あった“テート・ギャラリー展”(東京都美)に出品されたとても魅力的な少女の肖像画“シシリー・アレキサンダー嬢、灰と緑のハーモニー”と遭遇するまでは、この絵を思い浮かべていた。

本物の絵が目の前にある。細身で長身のモデルの流れるようなS字形の線がとても魅惑的。後ろの琳派風の花鳥の屏風や大きな花瓶、そして敷物はさらさらと仕上げたという感じだが、右手にもっている団扇は白地に花がしっかり描かれている。これはホイッスラーが鳥居清長の大判揃物“美南見十二候”(みなみじゅうにこう)をいくつかもっており、美人画では団扇が大事な持ち物であることをよく知っていたからだろう。

また、ほかの作品にも浮世絵の影響がみられる。展示室にあったテムズ川を背景にして着物姿の女性が三味線を弾いているところや手すりに寄りかかり遠くを眺める女を描いた“バルコニー”の構成は明らかに清長の絵を参考にしている。

“姫君”とともに忘れられない絵となったのが下の“紫と金の狂想曲No.2 金屏風”。図版でイメージしていたのとは異なり、小さな絵だった。赤の帯を締め濃い紫の着物を身にまとったモデルの小さな横顔が心をゆすぶる。また、気になるのが手にもち熱心に眺めている浮世絵。敷物の上に散らばっているのをみると広重の“六十余州名所図会”のようだ。

これでワシントンは終わり。明日からはボストン美術館の名作。

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コメント

こんにちは
この孔雀の間には以前から憧れてました。
新聞記事で見ただけでしたが、記事を読んでますますときめきますね。
フリーアのHPの画像検索はしたことがありますが、ほぼ全所蔵品を出してくれているので、見るだけでクラクラしたものです。
やっぱりいいですねぇ。

投稿: 遊行七恵 | 2008.04.20 12:34

to 遊行七恵さん
こんばんは。この孔雀の間をみますとホイッスラー
がいかに日本に魅せられていたかがよくわかります。
中国のものが混じっていますが、これはご愛嬌です。

今、ホイッスラー、サージェント、ホーマー、ホッ
パー、オキーフらアメリカ人画家にまっしぐらです。

投稿: いづつや | 2008.04.21 00:32

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