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2008.04.20

ボストン美術館 その一 若冲  グレコ  ベラスケス

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1993年、はじめてボストンへ行ったときは美術館めぐり(ボストン、イザベラ・ステュワート・ガードナー、フォッグ)に終始し、名所を見学したり名物の料理を食べる機会がなかった。今回はボストン美術館へ入るまでに市内観光をし、現地の日本人ガイドさんから町の歴史・文化、そして今流行のスポットや動向などについても教えてもらったから、ボストンという町の雰囲気が少しばかりつかめた。で、美術館の感想を述べる前に観光のことを少々。

歴史の町ボストンのなかでもっとも昔の雰囲気が残っているところがガス灯とレンガ造りの家々が美しいビーコンヒル。ヨーロッパの町の住宅地に迷い込んだ感じである。この地区にあるセブンイレブンは看板の色や外観を町の景観に合うようにおとなしい色に変えていた。日本の京都も景観を大切にしていることは間違いないが、ここまでやっているのだろうか?

ショッピングタイムで行ったクインシーマーケットは日本にもあちこちできている複合ショッピングセンター。名物料理ではここから歩いて5分くらいのところにあるお店でクラムチャウダーとロブスターを美味しくいただいた。ボストンレッドソックスの本拠地、フェンウェイパークのグッズ売り場の中にも入ったのだが、この話は大リーグの記事を書いたときにでも。

ボストン美術館のなかにいたのは2時間。前回の経験からすると全部のセクションを見尽くすには足りないが、絵画部門だけに絞って回ればこれくらいで十分。館内の地図を手にしても、いつものように導線や展示室のレイアウトはほとんど忘れているから、はじめて来た方と変わらない。

回る順番としては、まず、前回パスした日本美術の展示室をめざした。ここは日本美術の宝庫だから、事前チェックは怠りない。“毘沙門天像”、“吉備大臣人唐絵巻”・“平治物語絵巻三条殿夜討の巻”(この二つは日本にあったら間違いなく国宝)、狩野元信の“白衣観音像”、長谷川等伯や円山応挙の“龍虎図”、曽我蕭白の“龍図”などの図版が載っているリストを握り締め、緊張気味に部屋へ入った。

結果は?“大日如来坐像”や快慶の“弥勒菩薩立像”の立派な仏像はあったものの、お目当ての絵画はほぼ全敗だった!やはり特別展のようなときにしかこうした名品はでてこない。救いは上の伊藤若冲(1716~1800)の“松に鸚鵡図”。これはここが所蔵する若冲作品4点の一つ。若冲の絵を見ることを一生の楽しみにしているから、大収穫である。

左右に鋭くのびる松葉の描き方と鸚鵡の口ばしのうす青色(白群、群青のもっとも淡い色)にしばし見とれていた。口ばしの色を見るたびに若冲は天性のカラリスト(拙ブログ06/8/19)だなと思う。著色画でこの美しいうす青色が使われているのは二つしかない。“動植綵絵”の“老松鸚鵡図”などにもみられる鸚鵡の口ばしと“菜虫譜”のはじめにでてくるクワイ。ここにある若冲の次のターゲットは“旭日鳳凰図”。いつかこの絵と遭遇することを夢見ている。

真ん中はグレコ(1541~1614)の晩年の作品“修道士パラビシーノ”。絵にとても力がある。トレドでグレコは当時一流の学者や作家と交際していたが、パラビシーノは仲のよい友人の一人。フェリペ2世の宮廷の説教師であり、詩人でもあったハラビシーノはグレコを讃えるソネットをいくつも書いている。

アメリカのブランド美術館にはグレコの名作が何点もあるから、グレコ好きにとってはワクワクする。ワシントンでは期待の“聖マルティネスと乞食”や“ラオコーン”は現れてくれなかったが、“神殿から商人を追放するキリスト”や“聖ヒエロニムス”はみれたし、シカゴ美ではすばらしい“聖母被昇天”とも会った。そして、ボストンのあと紹介するメトロポリタン、フリックでも心を奪われる名作が待っていてくれたからご機嫌々。その絵はいずれ。

下の絵はベラスケス(1599~1660)の出世作“詩人ルイス・デ・ゴンゴラ”。23歳のときマドリッドで描いたこの肖像画が評価され、べラスエスは翌年、フェリペ4世の宮廷画家となった。あまり強くない色調でバランスよく描かれた詩人の姿には豊かな人間性と荘重さが感じられる。男の肖像画はレンブラントにもっとも魅了されているが、ベラスケスにも嵌りそう。

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コメント

こんにちは。
久しぶりの書き込みです。
PCの不具合から復活され、海外の名品を堪能し続ける楽しみ、嬉しくドキドキ拝見しております。
なかでも、このボストンは最高の憧れの美術館。
日本との深い関係も興味津々度が増します。
若冲と、グレコ、ベラスケスという並びに
仰天してしまいました。
さぞさぞすばらしいコレクションだったことと思います。
いづつやさんからはいつもいながらにして、
名作と出会えますこと、いつもながら感謝します。

投稿: あべまつ | 2008.04.21 11:24

to あべまつさん
前回のボストン美術館では有名なミレー、印象派
のコレクションを中心にみましたから、こちらは
肩の力をぬいて、見逃した日本美術やミレー以前
の古典絵画に注目してまわりました。

近代絵画の部屋が工事中で見れなかったので
シカゴやワシントンよりは少ないですが、5回取
り上げます。お好きな絵が含まれていればいいの
ですが。

美術館の図録に載っていて、なおかつ画集に出て
いるようなとびきりの名品をなるべく紹介するよう
にしてます。また、画像の掲載方法を以前と変え
ましたから、クリックするとより大きくなってい
ます。どうかお楽しみください。

投稿: いづつや | 2008.04.21 13:12

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