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2008.04.22

その三 ルノワール  モネ  サージェント

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前回ここへ来たときは頭の中はルノワール、モネ、ゴッホ、ゴーギャンの絵で占領されていたから、お目当ての絵はしっかり目にやきついている。だから、二度目の鑑賞は肩の力をぬいてじっくり味わうつもりでいた。ところが目はリラックスしているのに、心のほうは次第に“見るぞ!”モードになっていく。

ルノワール(1841~1919)の大好きな絵“ブージヴァルのダンス”(上の画像)と再会した。この絵は何年か前に日本にやってきたから3度目の対面である。1月にオルセーで“都会のダンス”、2月Bunkamuraで“田舎のダンス”(拙ブログ2/18)、そしてこの絵はボストン美でと短い間に運良く3部作全部をみることができた。ミューズに感謝々。

3つとも大きな縦長の絵だが、最初に描かれた“ブージヴァル”(縦179cm、横96cm)はほかの”2点と比べて縦はほぼ同じだが、横は6cm長い。この踊りの絵はルノワール全作品のなかでもお気に入りの上位に入っている作品だから好みに差がないのだが、あえて順番をつけるとすると“ブージヴァル”、“田舎”、“都会”の順。

3点のなかでは“ブージヴァル”の踊りが一番生き生きしている。男の紺との対比で女性が着ている白の衣服が鮮やかに浮き上がり、その裾はワルツのステップにあわせて軽やかにゆれている。画面には男女の赤や黄色の帽子といい、後ろで談笑している人たちが座っているテーブルの青といい、暖かく豊かな色彩にあふれ、幸せ気分満載。

アメリカの美術館にあるモネ(1840~1926)のコレクションはどこもトップクラスのものを揃えている。シカゴ、ワシントンナショナルギャラリーに続き、ボストンでも名作の数々に感激した。お馴染みの“積みわら”、“ルーアン大聖堂”、“睡蓮”に酔いしれたあと、真ん中の“ラ・ジャポネーズ”の前にしばらくいた。これも1992年Bunkamuraで開催された“モネと印象派展”に出品された。この時はボストン美がもっているモネの名画がたくさんやってきたから、モネ好きの方はこぞって出かけられたのではないだろうか。

モネの楽しみはなんといっても風景画だから、ルノワールの絵と違って人物を描いた作品への関心は薄い。でも、この“ジャポネーズ”とワシントンにある“日傘をさす女”(4/15)は別。前回みたときは金髪のカツラを被った妻カミーユの愛らしい笑顔に夢中になったが、今回圧倒的なボリューム感で迫ってきたのは豪華な刺繍のある真っ赤な打掛。

これがホイッスラーの“磁器の国の姫君”とともに西欧のジャポニスムへの傾倒ぶりを象徴する絵として見られているのは、この荒々しい姿の武者とやわらかいイメージのカミーユの組み合わせがいかにも異国趣味の気分を表現しているからだろう。余談だが、このエキゾチックなイメージがうけて、戸外の光で描いた自信作の風景画は見向きもされず、この作品だけが高値で売れ、世間の注目をあびた。モネはさぞかし複雑な気持ちだったにちがいない。

下は誰の絵とお思いだろうか?これはアメリカ人画家、サージェント(1856~1925)が描いた“エドワード・ダーレイ・ボイドの娘たち”。この絵と15年前に対面したとき腰がぬけるくらいびっくりした。上のルノワールとモネの絵以上の衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えている。

それまで、近代絵画における女性画の名作というとマネとかルノワールの絵をすぐ思い浮かべていたから、“こんないい絵を描く画家がアメリカにいたの?”というのが率直な感想だった。館を出るとき買った図録(英文)の表紙にこの絵が使われているので二度びっくり。ボストン美自慢の名画だったのである。

目が釘付けになるのが左に描かれた両手をうしろにまわし、こちらを見ている少女。まるで人形のようなかわいい顔をしている。手前で座っている子はだいぶ幼い。二人のところに左から光が強くあたり、暗い背景に白い衣装が際立っている。後ろの暗いところに立っているは長女とその下のお姉ちゃん。

奥行きのある構図と明暗対比はどこかで見たような絵を連想させる?そう、サージェントはプラド美術館にあるベラスケスの名作“ラス・メニーナス”の構成を意識してこの絵を描いている。このすばらしい絵を再度、感情のひだに深くきざみこみ、別の部屋へ移動した。

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コメント

こんにちは
サージェントの少女たちの絵は名古屋ボストン美術館にも時々現れます。
わたしも好きな絵です。
ボストンはやっぱり古都ですし、印象派を愛した街なので、名品が多いものですね。

投稿: 遊行七恵 | 2008.04.23 12:26

to 遊行七恵さん
サージェントはテート・ブリテンから重点鑑賞
画家です。少女たちに会えてニコニコです。
ボストンはヨーロッパの香りがつよい町ですから
、モネの絵や女性の肖像画を愛している人が多い
と思います。

投稿: いづつや | 2008.04.23 23:17

こんにちは。「中村岳陵展」記事にてお返事ありがとうございました。
このサージェントの画が名古屋に来たときはあいにく行けませんでした。メトロポリタン美術館にも「マダムX」ほかサージェント作品があるそうですね。
ご存知かもしれませんが"The Age of Elegance: The Paintings of John Singer Sargent"という小さい画集が気に入っています。肖像画がたくさん載っています。
日本で本物をまとめて見られる機会が作られてほしいです。

投稿: atsuos | 2008.05.04 15:03

to atsuosさん
サージェントの少女は名古屋ボストン美で
展示されたようですね。メトロポリタンに
ある“マダムX”は後半でご紹介します。
すこしお待ちください。

サージェントだけでなくアメリカ人画家の
回顧展を国内でもっと開催してもらいたいで
すね。まったく同感です。今回シカゴ美で
ホッパー展を見れたのは無上の喜びでした。

投稿: いづつや | 2008.05.04 19:35

いづつや さん、こんにちは。
お返事ありがとうございます。私がサージェントの作品に初めて逢ったときの思い出を書いた記事を、トラックバックさせていただきました。よろしくお願いいたします。
ホッパーといいますとテレビの迷宮美術館で見たnighthawksが印象に残っています。スーラの「グランド・ジャット島の日曜日の午後」もシカゴにあるんですね。

投稿: atsuos | 2008.05.04 23:25

to atsuosさん
パリのプチパレでサージェントの回顧展があった
のですか!羨ましいですね。

今回、アメリカ美術館めぐりツアーに参加したのは
おおげさにいえばシカゴ美にあるスーラのグランド
・ジョット島とホッパーのnighthawksを見るため
でした。今は満ち足りた気分で毎日をすごしてます。
これが絵画の力でしょうか。

投稿: いづつや | 2008.05.05 12:11

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2007年初春にオランダ、ドイツ(ベルリン)、フランス(パリ)の美術館めぐりをし [続きを読む]

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