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2008.03.30

その五 カラヴァッジョ  ラ・トゥール

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ルーヴルにあるカラヴァッジョ(1571~1610)の絵は、上の“聖母の死”(部分)、“女占い師”、“アロフ・ド・ヴィニャクールの肖像”の3点。このなかで前回見たなという記憶があるのは“女占い師”だけ。これは女が世間知らずの若者の指輪を抜き取るというほかの絵では見たことのない場面が描かれているのでよく覚えている。

だが、“聖母の死”とマルタ島の聖ヨハネ騎士団長を描いた大きな肖像画のことを知ったのはカラヴァッジョに関心をもちだしてからのこと。今はカラヴァッジョに夢中だから、この2点と真剣に向き合った。

“聖母の死”は絵のジャンルとしてはちゃんとした教会の依頼で制作された宗教画。横たわる聖母の頭には光輪がみえる。でも、これは伝統的な聖母の絵とはまるで異なる。死んだ聖母の腹は膨らみ、赤い衣装から素足をみせている。一見して普通の妊娠した女性の死体と変わらない。

視線が釘付けになるのがまわりで嘆き悲しむ使途たちの頭や聖母の顔、そして顔を手でおおいうずくまっているマグダラのマリアの背中にあたる光。聖母の死という厳粛な場面をカラヴァッジョは光を効果的に使い劇的に表現している。

カラヴァッジョの光と闇による画面構成がリアルで見る者の心を激しくゆさぶる感じなのに対し、ラ・トゥール(1593~1652)のろうそくやたいまつの光はより内面的で神秘的な雰囲気を醸し出している。05年、国立西洋美術館で開催された“ラ・トゥール展”で一気にこの画家の虜になり、ルーヴルにある7点の作品を見ることが今回の美術館巡りにおける最大の楽しみだった。

で、入館するとシュリー翼3階にあるラ・トゥールの部屋へ真っ先に向かった。ありました!ありました!7点全部。過去2回のルーブル訪問ではこれらの絵に気持ちが向かわず、一つ々の絵をはっきり覚えてないのに、今は前のめりになって夢中でこれらをみている。お気に入りは真ん中の“灯火の前のマグダラのマリア”と下の“大工の聖ヨセフ”、回顧展にも出品された“ダイヤのエースを持ついかさま師”(拙ブログ05/3/14)。

マグダラのマリアの絵はルーヴル所蔵のほかにもう3点ある。“ふたつの炎のあるマグダラのマリア”(メトロポリタン)、“ゆれる炎のある々”(ロサンゼルス郡立美術館)、“鏡の前の々”(ワシントンナショナルギャラりー)。ルーブルとロサンゼルス郡立美の二つはマリアのポーズの取り方とかひざの上にある骸骨の向きや手の添え方がよく似ている。目の前にある絵はろうそくの光が物思いにふけるマグダラのマリアの顔を照らさず、上半身をやわらかくつつみこんでおり、その美しい横顔に心が洗われる。

下の“大工の聖ヨセフ”にも魅了される。幼子イエスの顔にあたるろうそくの明るい光と赤く透けて見える左手を息を呑んで眺めていた。また、じっとイエスをみつめる聖ヨセフの目がとても印象的。闇の中、一本のろうそくの光で浮かび上がる親子の素朴な光景が今も脳裏に焼きついている。待望のラ・トゥールを7点もみられたので気分は上々。クールダウンせずに次の部屋に進んだ。

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