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2008.02.17

オルセー美術館 その一 ドガ  セザンヌ

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17年前、同じようにパリの美術館めぐりをしたとき、一番長くいたのがオルセー美術館。2回入館し、5時間かけて、これぞ印象派絵画といわれる名画を夢中になってみた。とくに目に力を入れて見たのがマネ、セザンヌ、モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーギャン。だから、図録に載っている作品は大体今でも目に焼きついている。

ところが、この6人以外の画家については主要な作品は覚えているが、記憶が薄かったり、すっかり忘れている作品がかなりある。で、今回はこうした画家の見逃した作品のリカバリーに気を配りながらみてまわった。

必見リストに多く載っているのがドガ(1834~1917)。初期の作品、古典画風の“バビロンを建設するセミラミス”や肖像画“ベレーリー家”は前回まったく記憶がない。ドガの代名詞ともいえるバレエの絵では、俯瞰の構図で踊り子をとらえた上の“舞台の踊り子”がお気に入り。

名作は鮮明に覚えていたこの絵だけではなかった。青の衣装に目を奪われる“青い踊り子たち”、礼をする踊り子の顔に当たるライトが印象的な“花束を持ち、舞台上で礼をする踊り子”、稽古風景を描いた“ダンスのレッスン”、“バレエのリハーサル”、“オペラ座の稽古場”なども心に響いた。また、“競馬”や“スタンド前の競馬馬”の動きのある描写にも魅せられる。

しばらく立ち尽くしてみたのが再会を楽しみにしていた真ん中の“アイロンをかける女たち”。右の女は力をこめてアイロンをかけているのに、左の女は大あくび。疲れているのだろうか。これは大好きな絵。日常の生活のなかで人々がなにげなく見せるしぐさの瞬間をとらえるのがドガは天才的に上手い。

“アブサント”もお気に入りの作品で、絵に力がある。目をぎらつかせた男の隣に女が元気なく座り、アブサントのグラスが置かれたテーブルの前方を眺めている。これはよく見かける男と女の光景。“この女は男と別れたくても別れられないのだろうな”とつい同情してしまう。予定の作品は流石質が高い。9割方目のなかにおさめたので、ドガとの距離が一気に縮まった。

セザンヌ(1839~1906)の下の有名な絵、“カード遊びをする人たち”は“アイロンをかける女たち”、“アブサント”同様画面には静かな空気が流れている。惹きつけられるのがカード遊びに熱中する二人を真横から描いているところ。

丁寧な筆触で描かれた男たちは感情をあまり出さず、静かにカード遊びを楽しんでいる感じだが、それがかえって存在感を高めている。赤茶色のテーブルと向こうの茶褐色の壁は田舎の古い家の雰囲気をよく伝えており、酒の瓶や襟に当たる光を表した明るい白が画面を引き締めている。

この絵や静物画の傑作“りんごとオレンジ”は99年、横浜美であった“セザンヌ展”でみたから、また会ったねという気分だったが、お気に入りの肖像画“コーヒー沸かしと女”とは本当にお久しぶり!という感じ。息を呑んでこの大作をながめていた。

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コメント

ゴッホの次に好きな画家は、迷うことなくドガです。特にこの「アイロンをかける女たち」は、生きている間に、絶対観たい作品の一つ。
2人の対比が何ともいえなく、いいんですよね。本当にドガの観察眼の鋭さには、いつも驚きと感心の私です。
私もオルセーに行く機会があったら、入り浸ってしまいそうです。

投稿: Yuko | 2008.02.17 20:26

to Yukoさん
ドガの作品は上の2枚の絵と“アプサント”
そして彫刻バレリーナしか覚えてませんで
したから、今回はほかの作品を一生懸命み
ました。流石オルセー。どれもいい感じです。

あらためてドガもすごいなと思いました。
そして、お気に入りのアイロンかけ女とアプ
サントの前にしばらくいました。本当にこの
絵は心に響きます。Yukoさんも早くみられ
るといいですね。

投稿: いづつや | 2008.02.18 08:12

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