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2008.02.14

ポンピドー・センター その一 カンディンスキー  ピカビア  モンドリアン

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パリで一日自由行動がとれると、美術館めぐりは結構数がこなせる。お目当ての美術館をどういう順序でまわるかを館の開いている時間、場所を考えていろいろシミュレーションした。時間帯は館によって幅がある。

一番早く開館するのがルーヴルの9時、オルセーは30分遅れの9時30分。モネの大作“睡蓮”の部屋があるオランジュリーは昼の12時30分から開き、閉まるのは午後7時。近代絵画や現代アートを展示するポンピドー・センターは11時のオープンで夜9時まで。ルーヴル、オルセーにたっぷり時間をとることを考えると、9時までやっているポンピドーは有難い。で、ここへは7時ごろ入館し、閉館近くまでいた。

ポンピドーを訪問するのは17年ぶりだが、ここの作品はこの間3回日本の美術館でみることができた。最も印象深いのが97年、東京都現代美術館であった大規模な展覧会。これはすごかった。マティスの“ルーマニアのブラウス”やレジェの“余暇”など美術の教科書に載っている傑作がいくつもやってきた。記憶に新しいところでは昨年の国立新美の開館記念展“異邦人たちのパリ展”(拙ブログ07/2/92/10)。また、ここにあるシャガールコレクションもほとんど日本で公開されているから、館内の4階と5階を回るのは久しぶりだが、展示作品は“また会ったね!”というのも何点かあった。

上のカンディンスキーの“黄ー赤ー青”は東京都美でも展示された。今回のポンピドーで一番のお目当てはマティスの切り紙絵“王の悲しみ”とカンディンスキーの抽象画。“王の悲しみ”は前回と同じく今回も飾ってなかった。一瞬倒れそうになった(ウソです)。前は図録を見て絵の存在を知った程度だったが、この度はこの絵に会えるとワクワクしていたからショックは大きい。大変残念だが、こういうこともある。

頭を切り替えて目の前のカンディンスキー(1866~1944)の抽象画“黄ー赤ー青”を楽しんだ。カンディンスキーの絵をこよなく愛している。そのきっかけとなったのがこの絵。沢山ある抽象画のなかでは、ドイツのバウハウスにいたときと晩年、パリに滞在していたころ制作した作品がとくに気に入っている。これはバウハウスのころの幾何学的な傾向が強い作品。

たらしこみ風の紫の雲にかこまれた左の黄色の部分は半円の弧、直線は細い線でさらさらと引かれているのに対し、右半分は濃い青の円や四角の赤などが重なり合い複雑なフォルムをつくり、それをくるむように黒の太い線がくねくねと流れている。線や幾何学的なフォルムは見てて混乱するようなカオスではなく、爽快感すら覚え、色の響き合いも美しい。クプカやヴァザルリの作品同様、極上の抽象美が楽しめる傑作である。

真ん中の絵は“王の悲しみ”とともに対面を待ち望んでいたピカビア(1879~1953)の“ウドニー”。期待にたがわぬすばらしい絵だった。緑や青の曲面がからみあって中心の白のフォルムを浮かび上がらせている。これはピカビアがニューヨークへ向かう船で出会ったダンサーの踊りをイメージして描かれたというから、白はそのダンサーを表しているのかもしれない。奥行きのある画面はクプカの絵を連想させるが、こちらのほうはリズミカルで躍動的。

下はモンドリアン(1872~1944)の“ニューヨーク・シティ 1”。これはあの代表作“ブロードウェイ・ブギウギ”と同時期の作品。それまでの黒の線が消え、黄、赤、青の垂直線と水平線のみを使った格子状で画面が構成されている。シンプルな形と明るい色彩はまるでインテリアデザインとか包装のイメージ。まだ、浮き浮きするようなジャズの音色は聞こえてこないが、心が晴れやかになる絵である。

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