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2008.02.08

その七 スーラ  ゴッホ  ルソー

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ロンドンはパリと共に印象派の宝庫。ナショナル・ギャラリーとコートールドコレクションにはマネ、モネ、セザンヌ、ルノワール、ゴッホ、ゴーギャン、スーラ、ドガ、ロートレックといった印象派の巨匠たちの名画がいくつもある。印象派はルネサンス、シュルレアリスム同様一生の楽しみにしているから、ここナショナル・ギャラリーで前回熱心にみた有名な絵はしっかり覚えている。

いい絵が多すぎてどれを紹介するかで迷うが、上のスーラ(1859~1891)の“アニエールの水浴”だけはどうしてもはずせない。旅行会社がくれたロンドンのミニガイドブックには“時間がなくてもコレだけはチェックすべき絵”の3点にこの絵が選ばれている。あと2点はゴッホの“ひまわり”とその四で紹介したルーベンスの“シュザンヌ・フールマン”。

これは縦2m、横3mの大きな絵。この大きさだけでも見ごたえがあるが、その明るい色調に思わず“ウワー”と感嘆の声がでそうになる。スーラというとすぐ点描画をイメージするが、この絵は点描法へ移行する前の作品。でもスーラは後に、一部例えば、子供のオレンジ色の帽子や水面を青と黄の斑点に修正している。手前で男が横になったり、川のほうをむく横顔の子供が座っている草地のやわらかい緑がなんとも目に心地よく、人物を明るく照らす日差しがまぶしい。アニエールはパリ北西部にある町で、この絵はセーヌ川の下流に向かって描かれた。遠方にはクリシーの工場がみえる。

わがゴッホ(1853~1890)がこれまたすごい。“ひまわり”、真ん中の“麦畑と糸杉”、“椅子とパイプ”など全部で6点。“麦畑と糸杉”と同じ景色を夜空のもとで描いたNYのMoMAにある“星月夜”では、糸杉は激しいタッチで左右に折れ曲がるように荒々しく描かれているが、昼の糸杉はそれほどしつこくなく、上のほうへ力強くのびている感じ。目を奪われるのが黄色が輝く麦畑と抜けるような空に白とうす紫でむくむくと描かれた雲。遠景の山が右の方にあがっていく緩やかな対角線の構図も安定感がある。オルセーへ行く前に心はもう満腹状態。また、ここの定番の名画、ルノワールの“雨傘”やマネの“ウエイトレス”、モネの“睡蓮の池”もじっくり楽しんだ。

下はアンリ・ルソー(1844~1910)の“不意打ち!虎のいる熱帯の嵐”。こんないい絵を前回は見てなかったから、画集でこの絵を見るたびに後悔の念がつのった。やっとリカバリーできた。ルソーははジャングルの絵を20点描いているが、これは第一作。図版でみる以上にすばらしい絵。

この絵の主役は突然起こった嵐にびっくりする虎。なんとも存在感のある虎である。うしろの横に大きく曲がる木の枝と虎を平行的に配置する構成によって、嵐の激しさと虎の動揺する様子がひしひしと伝わってくる。また、白と灰色で何本も引かれた雨の斜め線のなか、緑の葉むらの背後で輝く緋色の葉にも釘付けになる。しばらく息を呑んでみた。これは長く記憶にとどまりそう。

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コメント

いづつやさん、こんばんは。お久しぶりです。
先日は、大観作品の連絡をありがとうございました。今月、六本木に出かける用事があるので、できたらそのときに行ってみようと思っています。

さて、スーラの作品についてですが。
私も点描画のイメージが大です。去年、東京都美術館での印象派展で、初めて彼の作品を見ることが出来たのですが、想像する以上に画面の「点、点、・・・」がどうしても気になってしまい、作品全体を鑑賞する気を殺がれてしまいました。でも、↑画像の作品には、画面にソフト感があるように見えます、とてもいいなぁ!と思いました。(それとも画像で写っているからということもあるのでしょうか?)

投稿: kai | 2008.02.10 23:56

to kaiさん
大観展はまた後期に出かけるつもりです。

スーラの絵はナショナル・ギャラリーの至宝
です。この大きな絵は静かで色がやわらかく、
本当に絵の前に何時間でもいたくなる絵です。
kaiさんもいつかお楽しみください。

スーラやシニャックの点描画は大好きなので
斑点が気になったことはありません。点描画
は絵に近づかないで、離れて見たほうが美しく
みえます。

投稿: いづつや | 2008.02.11 11:26

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