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2008.02.22

その六 ホドラー展

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オルセーで行われていた“ホドラー展”(07/11/13~08/2/3)を知ったのはパリに入ってから。グランパレの“クールベ展”のことは日本を発つ前に情報を入手し、めぐり合わせの良さに喜んでいたが、嬉しいことにミューズは関心の高いホドラーの絵まで用意してくれていた。感謝々である!この回顧展に追加料金は要らないし、ホドラー
(1853~1918)の山の絵とモネら印象派の風景画は親和性が高いので、大きなオマケをいただいた感じ。

グランパレのクールベ展に大作“オルナンの埋葬”や“画家のアトリエ”などがごっそり出張しているので、その部屋がホドラー作品の展示に使われていた。で、導線に沿って初期から晩年までの油彩81点、素描26点の100点あまりを楽しんだ。入ってまだ作品に目が慣れないのに、いきなり以前からみたかった上の“夜”(ベルン美術館蔵)が現れた。この代表作があるのなら、これはのっぴきならない大回顧展に間違いない。目に気合を入れ直して、この絵と向き合った。

釘付けになるのが画面の中央、何かに怯えるように顔をひきつらせている男。男が怯えるのは無理もない。黒の衣をかぶって男に迫っているのは“死”の亡霊なのである。そして、まわりで眠っている男女にみられる黒の衣も死を暗示している。若い頃から“死”の観念に取りつかれていたホドラーが死のイメージを象徴的に描いたこの絵はパリで高く評価された。

さらに国際的な評価を得ることになった作品がこれの3年後に描かれた“選ばれし者”(拙ブログ05/1/28、ベルン美)。ベルン美にある代表作二つが出払うわけにはいかないだろうから、“選ばれし者”はさすがにでてなかった。残念!でも、ホドラーが“パラレリスム”と名付けた画法で僧衣を着た五人の男を描いた“夢から覚めて”があった。これは一度96年にあった“象徴派展”(Bunkamura)でみたことがある。

真ん中の“春”もこのとき会ったものと思ったが、ホドラーは春をテーマに3点制作しており、Bunkamuraに出品されたのは第2作で、目の前にあるのは最後に描かれたものだった。これは一度みたら忘れられない絵。その明快なフォルムと装飾性に満ちた明るい画面に200%感動した。時間があればいつまでも見ていたい気分だ。

Myカラーが緑&黄色だから、こういう絵をみるとご機嫌になる。正面を向きロダンの“考える人”を彷彿とさせるポーズをとっている男(モデルはホドラーの息子)と白い薄衣を着て横を向いている目を閉じた少女のまわりには、図案化された黄色の草花が野原に咲き乱れるように沢山描かれている。日本に帰って一作目(これも日本にやって来た)、二作目と較べてみたら、草木の描写が一段と細かくなり、数も倍ちかくあった。

自然の野原を背景に女性を描いたものや力強い精神性が表現された自画像とともに魅せられのがアルプスの山を描いた風景画。下はお気に入りの一枚“トゥーン湖”。日本画家の山口蓬春が代表作“山湖”(05/1/26)を制作するときホドラーの絵を参考にしたという話しを知っているから、17点ある湖と山を描いた絵の前では感慨深かった。

この絵のように青緑の湖面に山の鋭い稜線がシンメトリーに反射して写るものとか、青い空に描かれたむくむくとした雲や湖面に広がる斑模様が実に美しい作品などを夢中になってみた。ホドラーの絵の魅力をあますことなく伝えるこの大回顧展に遭遇できたことを心から喜んでいる。

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