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2008.02.21

その五 ルソー  ルドン  ホーマー

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ダリ、ミロ、マグリットらシュルレアリストの作品は不条理で不思議な世界を描いているのに、見てて不安な気持ちになるとか嫌悪感を抱くということはない。逆にこのシュールさに積極的にライドして楽しもうという気持ちで作品に向かい合うことが多い。

一方、同じように現実の情景ではなく、幻想的な世界や文学や神話の物語を絵画化した象徴派や素朴派の作品の場合、一体どこに連れて行かれるのだろうかと不安になる暗くて死のイメージが強く漂う絵とか、人の心を戦慄させるような悪魔やぬめっとした蛇が描かれた絵などに遭遇することがあるから、作品にたいするのめり込み度は半分々といったところ。

200%嵌っているのは昨日取り上げたモローとアンリ・ルソー。熱をあげるきっかけになったのが“オルフェウス”と上のルソーの“蛇使いの女”。逸る気持ちを抑えきれずルソー(1844~1910)の絵を探した前回は“戦争”はあったのに、どういうわけかお目当ての“蛇使いの女”が展示してなかった。ガックリきて、全身の力がぬけた。でも、嬉しいことに後で訪問したポンピドー・センターで待っててくれたのである。

その絵が目の前にある。ナショナル・ギャラリーにある“不意打ち!”(拙ブログ2/8)と同じ異国的な熱帯風景だが、こちらは夜の神秘的な世界。この絵の魅力は巧みな構図。中心をちょっとはずしたところに蛇使いの女が立ち、川面と熱帯の密林を照らす真ん丸い月を背にして笛を吹いている。隙間なく描かれている右半分の植物の葉や花に対して、女の後ろに広がる川と上の空はちょうどいいくらいの広さ。

緑のグラデーションや黄色を使って平板に描写された色々な葉はひとつ々をみると結構デカイ。種類ごとに細かくしっかり描かれており、生い茂る密林の感じがよくでている。笛につられて体をくねくねさせている蛇は4匹。左には色鮮やかな羽をもつ水鳥がいる。葉や花のフォルムは左右に動いているようにもみえ、密林全体が美しい笛の音色にあわせて静かに揺れているよう。

真ん中はシャバンヌと同じく重点画家にしていたルドン(1840~1916)が描いたパステル画“野花”。眩い色彩に目を奪われる。これほど明るく、喜びにあふれた花の絵はみたことがない。初期のころは暗くて退廃的なイメージの絵(07/8/6)を描いていたのに、ルドンは晩年、こんな鮮やかな色彩の花の絵や神話を題材にした絵を数多く描いた。

青の地に映える白馬の躍動的な姿が印象的な“アポロンの戦車”や“仏陀”は前回見逃しただけに目に力を入れてみた。静けさをたたえた“瞑目”をみれなかったのは残念だが、似たような絵は昨年Bunkamuraの回顧展でみたからそれほど気にならない。一番見たかった“野花”をみたから満足度は高い。

ナショナル・ギャラリーで見る予定にしていた紫や青など色とりどりの花が咲き乱れる“花のなかのオフィーリア”とも対面できたら言うことなかったのだが。これは次の楽しみ。

下はアメリカの画家、ホーマー(1836~1910)の“夏の夜”。この絵との対面を長らく待っっていたが、ようやく実現した。白の激しい筆触で表された波しぶきの美しさに立ち尽くした。夜の海を背にして踊る二人の女性の姿がエレガントなこと!この絵を見るのに言葉はいらない。これと遭遇したのは一生の思い出になる。

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