« その二 ミロ  エルンスト  グロス | トップページ | ポンピドー・センター その一 カンディンスキー  ピカビア  モンドリアン »

2008.02.13

モンマルトルのダリ美術館

220
221
222
今日からパリにある美術館の感想記。また、しばらくおつきあい下さい。最初はダリ美術館。ここは訪問予定に入ってなかったが、想定外の出来事があったため、急遽でかけることになったオマケの美術館。ロンドンからパリに入った日、思ってもみなかった公務員のストに遭遇した。ルーヴル美術館やヴェルサイユ宮殿などは終日閉館だから、日程をいくつか変更しなくてはならない。

で、午後の市内観光は自由行動になった。“さて、どこへ行くか?”、あれこれ思案。グランパレで開催中の“クールベ展”をチェックしたら、3時間待ちの大行列だという。これだと集合時間に間に合わない。ガイドブックとにらめっこをして、モンマルトルにあるダリ美術館へ行くことにした。

地下鉄12号線ABBESSES駅から徒歩5分になっているが、5分ではとても無理。坂道が多いからちょっと疲れる。途中、3人に美術館の場所を尋ね、日本の女性の方が持っていた詳しい地図のお陰でなんとかたどり着くことができた(上の画像)。入り口の外観は美術館のイメージではなく、画廊に毛がはえたようなもの。

展示室は地下にあり、展示されているのはダリ(1904~1989)のイラストと彫刻作品300点あまり。油彩画は一枚もないのが期待はずれだが、三次元のシュルレアリスムである彫刻は楽しめた。はじめてお目にかかる彫刻は3割。残りは過去日本であったダリ展や諸橋近代美術館(拙ブログ05/6/26)でみたから、満足の度合いは中くらいである。

ダリ好きな者にとってはここの作品によってダリワールドのヴァリエーションが広がったからOKなのだが、“これで入館料10ユーロは高いのでは?”と言う隣の方のほうが正直な感想かもしれない。こういうときはsomething newが一点でもあればそれだけで嬉しいファン気質とそれほどのめり込んでない者との気持ちの差がはっきりでる。

真ん中はダリ彫刻の代表作“回顧的女性胸像”。これとは4度目の対面。原型が制作されたのは1933年で、1977年にブロンズ像として復元され12点つくられた。原型のときは女の頭に乗っている細長いパンとかトウモロコシの首飾りは本物が使われたようで、展覧会場に訪れたピカソの犬がパンに飛びかかって食べてしまったという逸話が残っている。その現場に居合わせたかった!

日本の人形にように白い女の顔には額から頬にかけて油絵の具でアリが描かれている。数えたことはないが90匹いるそうだ。アリは死の象徴。パンの上のインク壷にみられるのはあのミレーの“晩鐘”に描かれた農民夫婦。ダリにとって彫刻やオブジェは“トランスフォーメーション”(変形、変容)をシュルレアリスムの観点から表現したものだから、この作品は食べ物としてのパンにインクが染みこんでいき別のものへ変容することをイメージさせているのかもしれない。

これに較べるとずっとわかりやすいのが下の“聖ゲオルギウスと龍”。ナショナル・ギャラリーでウッチェロの同名の絵をみたばかりだから、作品にすっと入っていける。中世ヨーロッパでは、聖ゲオルギウスは騎士の守護聖人で、龍をやっつけるところを描いた絵はよくお目にかかる。でも、彫刻作品を見る機会は少ないから、これはシュルレアリストをとったただの彫刻家ダリの作品としても充分楽しめる。見ごたえのあるいい彫刻なので、シュルレアリスム的な意味を考えるのは止めにした。

久しぶりの白亜のサクレ・クール寺院もみたかったが、集合時間が迫っていたので、あまりぶらぶらせず坂道を下っていった。

|

« その二 ミロ  エルンスト  グロス | トップページ | ポンピドー・センター その一 カンディンスキー  ピカビア  モンドリアン »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: モンマルトルのダリ美術館:

« その二 ミロ  エルンスト  グロス | トップページ | ポンピドー・センター その一 カンディンスキー  ピカビア  モンドリアン »