川端龍子名作展 龍子が描いた神仏
半年ぶりに龍子記念館(大田区、入館料200円)へ出かけた。今、開催されている所蔵展“龍子が描いた神仏”(作品数20点、1/4~5/6)にはまだみてなかった3点があったから、これで図録に掲載されている作品120点はすべて見たことになる。見終わるのに3年かかった。
龍子の絵の虜になって久しい。定期的にここを訪問しているのは大きな絵が見れるから。近代日本画のなかで大作のイメージの強い画家は川端龍子、東山魁夷、奥田元宋、平山郁夫。龍子を除く3人が描くのは自然の風景だが、龍子は風景だろうが、人物だろうがなんでも大きな画面に描く。
今回展示されているのは神仏を描いたもの。上は入ってすぐのところにドンと飾ってある“やすらい”。これが最後まで残っていた大作。地面に座ってくつろいでいるのは孔雀明王で、まわりには長い羽尾をした孔雀が5羽いる。本来の孔雀明王図は東博蔵の国宝(拙ブログ05/7/4)のように明王は孔雀に乗っているはずだが。
龍子はこの絵についてこう語っている。“孔雀に騎乗した孔雀明王図は、平安時代以来から多く密教の本尊仏として巧作され来たった名作を寺々で拝見するのであるが、第一印象として感じることは、千年近くも孔雀の背に端座され来たった明王様も、乗せている孔雀を考えても、さぞや窮屈におわしましたことであろう。一寸休養をお取り遊ばされませ・・・と軽い気分での制作である”。
普通の人間にはなかなか思いつかない発想である。この創作態度は今、人気の現代アーティスト、山口晃の作品、“うま図 2004”(07/8/20)や大作“渡海文殊”となんら変わらない。シュルレアリスム流のダブルイメージを使った“御来迎”(07/2/7)や孔雀に囲まれる明王図を生み出す龍子の豊かな想像力には舌を巻くばかりである。
下は紺地に金泥で行者道の本尊、蔵王権現の姿を描いた“一天護持”。これはお気に入りの絵。見るたびに惹きつけられるのが紺地に映える金泥の描線の輝き。多くの仏画を見てきたが、インパクトの大きさでは国宝の“五大力菩薩像”や“五大尊像”に決して負けてない。この絵は“行者道三部作の二”で、一の赤鬼と青鬼にハットする“使徒所行讃”、三の“神変大菩薩”も一緒に展示してある。
この美術館もしばらくお休みできるかなと思っていたら、5月の特別展“川端龍子と修善寺展”(5/17~6/15)を案内されたので、また出かけることになりそう。
拙ブログは1/21~31、お休みします。
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コメント
「奥の細道」の 復刻版 を あるところで
見ました。
ソチラ様は 関わっていないでしょうか。
復刻版は 「京都 いづつや」と いう
おぼろ気な 記憶しかありません。
ここに書いても 返信を いただけるのか どうかも
分からずに 書いております。
どうすれば 値段などを 知ることが できる
のでしょう。
(お聞きしても 高価であれば 無理 ?)
何日かしたら また ここを 開いてみます。
投稿: 岩手の クマ | 2008.01.31 09:39
to 岩手のクマさん
旅行のため、返事が遅れてすいません。
“奥の細道”の復刻版にはなんら関わって
おりません。どうやら、別の方のようです。
残念ながらお役にたてません。
投稿: いづつや | 2008.02.02 00:27
お手数を おかけいたしました。
ありがとうございました。
ネットで 目の保養ができるとは
(パソコン初心者)
思っていませんでした。コッチのほうも
ありがとうございました。
では
投稿: 岩手のクマ | 2008.02.03 18:04
to 岩手のクマさん
どういたしまして。これからもよろしく
お願いします。
投稿: いづつや | 2008.02.04 17:28