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2008.01.14

夢二と謎の画家・小林かいち展

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七恵さんのエントリーで知った“夢二と謎の画家・小林かいち展”(竹久夢二美術館
1/3~3/30)を見てきた。この美術館へ来るのは久しぶり。今回の関心は夢二ではなく、小林かいち。

昨年8月、日光東照宮を観光した際、なんの予備情報も無く入館した小杉放庵記念館で小林かいちの絵葉書と衝撃的な出会いをした(拙ブログ07/8/28)。それから、まだ4ヶ月ちょっとしか経ってないのにまた、木版画による絵葉書、絵封筒200点あまりを鑑賞する機会がめぐってきた。

東京でこれだけ多くの作品が展示されるのははじめてらしい。産経新聞に載ったこの展覧会の紹介記事によると、昨年12月、女性誌“ドマーニ”(小学館)も小林かいちの特集記事を掲載し、かいちデザインの平成20年特製カレンダーをつけたという。編集担当者の話では部内でアンケートをとると断然かいちの人気が高かったそうだ。こういう話を聞くと、かいちのアールデコ風のデザインが徐々に女性のこころを捉えはじめたことを実感する。

かいちが描いた“現代的抒情版画絵葉書”(4枚一組袋入り)は多色刷木版で38集までつくられた。初版は200~300部程刷られ、人気の高いものは再版された。これを売り出したのは京都・三条の絵草紙店“さくら井屋”で、大正後期から昭和初期の頃のこと。昭和2、3年にその多くが制作されたようだ。

今回、32種類の絵葉書が展示されている。そのうち4枚全部そろっているのが20ある。そのなかで惹きつけられるのが上の“嘆きの花艸”、下の“君待つ宵”、“ゴンドラの思い出”、“青い鳥”、“灰色のカーテン”、“影”、“二号街の女”。

街を闊歩するモダンガールをイメージさせる“二号街の女”や幻想的な女にハットする“灰色のカーテン”を除けば、かいちが描く女は大半、細身の背の高い女で、背中をこちらにむけてうつむき、悲しみにくれている。これほど恋のせつなさ、悲しみがじーんと胸を打つ絵はこれまでみたことがない。カードのハートを上の左右にあしらった“嘆きの花艸”は植物の細い枝がつくる曲線が顔を手でおおい泣いている女の悲しみとシンクロしているようにみえる。

絵封筒も沢山ある。そのモティーフは女性、花、キリスト教(十字架)、ゴンドラ、ろうそく、トランプ、クロスワードなど。最初のころの色使いは淡い色を基調にしていたが、これが赤と黒の2色が多くなり、金銀でアクセントをつける作風へと変化していく。そして、色彩はさらに鮮烈なものになり、華やかになっていく。これは京都で発展した琳派の意匠や仁清の京焼色絵の絵つけなどを意識してのことだろう。

最後に飾ってある“舞妓や京風景”を描いた絵封筒の美しいこと!夢中になって見た。ますます小林かいちにのめりこんでいく。

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コメント

こんばんは
かいちのシリーズものを見ていますと、小さなストーリーがあるのに気づいたりしますね。
起承転結がある感じです。
今回たいへん多くの展示があり、とても素敵でした。
着物デザインの仕事もしていたようですが、それが活きてるようなデザインも見受けられ、色々感心しました。

今度さくら井屋さんに行ってみようと思います。
むろん昔日の面影はないでしょうけれど。

投稿: 遊行七恵 | 2008.01.16 18:15

to 遊行七恵さん
七恵さんの訪問計画にこの展覧会を見つけた
ときはちょっと胸が高まりました。そして、
かいちの作品の前では興奮しっぱなしでした。

絵葉書は日光でみたものが多かったのですが、
絵封筒は初見のが沢山あり頭がくらくらしました。
私はカラリストには目がないですから、もう小林
かいちに200%のめり込んでます。

京都はやはり日本美術の中心ですね。小林かいち、
堂本印象、加山又造の作品には、伝統とモダン
がうまく溶け合ってます。京都で育った作家にしか
こういう作品は生み出せないですね。本当にすばら
しいです。

投稿: いづつや | 2008.01.16 22:51

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