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2008.01.08

山種美術館の春のめざめ展

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今年最初に見る展覧会は山種美術館の“春のめざめ展”(1/5~3/9)。昨年あたりからここの展示の仕方が変わった。以前は会期が二ヶ月あると前半一ヶ月と後半では作品をかなり替えていたが、今は会期中作品は出ずっぱりにしている。見る側としてはこのほうがいい。

日本画でも西洋絵画のように一回の鑑賞で済むほうがいいにきまっている。前のほうが展示する作品は少し多いかもしれないが、もともとここで期待しているのは数より質だから、そんなことはぜんぜん気にならない。

今回展示してあるのは50点あまり。初見のものが予想外に多い。過去見たものが沢山ありそうだな勝手に思っていたが、ここの所蔵する日本画は東博の浮世絵のように無尽蔵。初対面で心を奪われたのが上の伊東深水の“富士”。美人画を得意とする深水がこんないい風景画を描いていた。これには参った!

画面の両サイドにはみ出す松の木の向こうに、雪の白と青が見事なコントラスをなす富士山が安定感よく描かれている。富士山の絵はほかに横山大観、安田靫彦、小林古径の作品があったが、これが一番ぐっときた。

新春に相応しい絵といえば鶴の絵。鶴とくればここにはとびっきりの名画がある。それは杉山寧の“曜”(拙ブログ05/1/11)。この絵の前に立つと言葉を失う。本当に美しい!はじめてみた小林古径と川端龍子の鶴にも足が止まった。

また、再会した小茂田青樹の“春暁”も印象深い。前回も驚いたが、縦長の掛け軸の左に寄せられて立つ松の幹の質感描写が実にリアル。そして、じっと見てしまうのが幹から何本も真横にのびる枝と緑の葉。意匠化された葉は違和感無くリズミカルに連続している。

下は竹内栖鳳の小品、鯛の絵とともに魅了された速水御舟の“春池温”。御舟の魚の絵ではこれが最も気に入っている。心を揺すぶるのが鯉と紅梅のフォルム。体をくねらしてS字の水の流れをつくる鯉の動きに呼応するかのように、春の息吹を感じさせる紅梅の枝は左から右に大きく折れ曲がっている。

小さな絵だが、とてもいい気持ちにさせてくれるのが土田麦僊の“梅花小禽”と奥村土牛の“紅白梅”。初回から期待値を大きく上回る感動をもらうと、今年も全部見ようかなという気になる。やはりここはブランド美術館。

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コメント

富士山の絵が、伊東深水の作品とは!
びっくりしました。私は「美人画」しか見たことがなかったので。↑の画像を見ても、すばらしいなぁと思っているのに、目の前にしたらきっと圧倒されてしまうと思います。

靖国神社にお参りがてら、山種美術館に行こう!と思って出かけたのですが、残念ながら行けずに帰りました。3月まで開期ですよね?次の機会には行きたいです。

投稿: kai | 2008.01.13 00:49

to kaiさん
伊東深水の富士山には驚きました。見てのお
楽しみです。山種と大丸東京の水野美コレク
ション展(1/28まで)を一緒に見られたら、
日本画の美しさが満喫できるのではないで
しょうか。

投稿: いづつや | 2008.01.13 16:02

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