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2008.01.02

自称歌謡曲評論家がみた今回の紅白

148普段はテレビの音楽番組を見ることはほとんどないから、大晦日の紅白歌合戦は今、世の中でヒットしている歌と人気の歌手を知る貴重な機会。だから、この国民的な歌番組は例年欠かさずみている。

で、日頃は縁の無い若手歌手でも、紅白に数回出場している歌手になるとその歌声に聴き惚れたりする。

歌の上手さに感心するのが“サクラ色”を歌ったアンジェラ・アキや“LIFE”の中島美嘉。“LIFE”のサビの部分は聴いたことがあるのだが、誰が歌っているのか知らなかった。中島美嘉は紅白で知るようになり、注目していたが、このいい曲も歌っていた。ところで、あのクレオパトラみたいなメイクは昔からしていた?

平原綾香が歌う“Jupiter”は原曲がいいから助かっているが、あの吸い込まれそうになる息つぎが耳についてしょうがない。日本人としては上手なレベルだと思うが、NHKの“その時、歴史が動いた!”を担当している大物アナウンサー松平さんの癖“シー、シー”という口からでる音同様に、息つぎの音が一度気になりだすと、もうダメ。で、琴線にふれるいい曲なのに、あまり感動せずに終わった。

平原とオペラ歌手を比較してはいけないが、もともと歌い方が違う秋川雅史は息つぎをしていないような感じで“千の風になって”を万感の思いをこめて歌いきった。今回の白眉といっていいすばらしいステージに思わず、拍手をした。

こういう正統派の歌声に感動する一方で、力が衰えたなと思わずにいられない歌手もいた。その筆頭が前川清。実力者の前川も今の声量では“そして、神戸”は聴くに堪えない。なんだか、急速に歌う力が萎えてきた感じ。もっとひどいのが布施明。もともと歌は上手くないのだから、もう来年は出さないほうがいい。

これをいうとファンの方は怒るかもしれないが、浜崎あゆみの歌もつまらなかった。曲自体がアベレージだが、浜崎の歌い方も“アレレ?音程はずしてない?”と思うくらい張りがなかった。スローテンポの歌を上手く歌えるほどの歌唱力がないということかもしれない。浜崎あゆみはジャパンポップスのトップを走るシンガーというイメージをもっていたから、大いに面食らった。

ラストの4曲は昨年亡くなった不出世の作詞家、阿久悠の歌。一番よかったのが石川さゆり(左の画像)が熱唱した名曲“津軽海峡・冬景色”。阿久悠に敬意を払うのだったら、大トリは五木ひろしの“契り”より誰が考えても“津軽海峡・冬景色”だろう。五木ひろしは贔屓にしている演歌歌手だが、“契り”は五木ひろし自身が作曲した平凡な曲。これでは阿久悠の詩が生きてこない。

ヒットしたのは森進一の“北の蛍”のほうなのに、番組制作者はなにを血迷ったか4曲のなかではもっとも聴きばえのしない歌を大トリにもってきた。“歌力”をコンセプトにして3年で紅白をリニューアルしようと、鶴瓶を司会者に使ったり、映像を多用したり、コラボレーション“愛燦燦”を実現したり、色々新機軸を出したのに歌の最後の編成で失敗した。

ビジネスの世界でも新コンセプトの開発に力を注ぐ場合、小さいところまで気を使うのだが、意外に大事なところがおろそかになるということがよくある。印刷物の校正で一頁の大きな字の間違いを見落すのと同じ現象である。番組の改革を進めるのなら、やはり歌そのものの構成を中心にやってもらいたい。

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