« 北斎諸国名橋奇覧と諸国瀧廻りの復刻版画 | トップページ | 川越市立美術館の橋本雅邦展 »

2008.01.12

水野美術館のすばらしい日本画コレクション!

167
168
169
大丸東京店で今、展示してある水野美術館の近代日本画コレクションに仰天した!長野市にある水野美は2年前あった加山又造展をみるため訪ねたことがあり、日本画を数多く所蔵していることは知っていたが、これほど質の高いものだとは思わなかった。

展覧会のタイトル“近代日本画 美の系譜”(1/10~28)が200%信じられる出品作60点は山種美級の名品揃い。東京でコレクションを公開するのははじめてというので、館としても自慢の作品を選んだのであろう。こうした名画を東京で見られるのだから、新装大丸東京様々である。

数が多いのが横山大観、菱田春草、下村観山、川合玉堂。大観の“無我”や春草の絵はこれまで見たことがあるので、さらっとみたが、観山の“春秋”と大作“獅子図屏風”に足がとまった。とくに“獅子図”は青い眼と緑の毛、雌獅子の青の体が強烈なインパクトをもっており、前田青邨の“唐獅子がダブってきた。

風景画で惹きつけられたのが玉堂の“渓村春雨”、“清湍釣魚”と上の橋本雅邦の“紅葉白水”。“渓村春雨”は構図がそっくりの東近美にある“彩雨”に負けず劣らずの傑作。“清湍釣魚”は昨年の回顧展でも魅了された。“紅葉白水”を秋の季節に鑑賞したら、感激も半端じゃないな思うほどまったくすばらしい絵。彩色画では東芸大美にある“白雲紅樹”(重文)と双璧だろう。

美人画はビッグ3が競演している。上村松園のチラシに使われている“かんざし”、“夕べ”、鏑木清方の“花ふゝき・落葉時雨”、そして伊東深水の“夜長”、“鏡獅子”。真ん中の絵は感動ものの屏風“花ふゝき・落葉時雨”(右隻)。これは手元にある清方の画集に載ってないので、目の前にいきなり宝ものが現れたような感じだった。

今年の清方の追っかけは4月、鎌倉大谷美に展示される“道成寺・鷺娘”が最初と思っていたのに、これは嬉しい誤算。桜の花びらが空に舞うなか、舟に乗り桜を楽しんでいる女性はお気に入りに清方美人。姿態もさることながら身につけている着物の柄と色が心を揺すぶる。

今回、清方の美人画と同じくらい感動したのが下の裸婦図。はじめてみる杉山寧の“晶”。杉山寧独特のマチエールが特徴の大きな絵で、水中を泳ぐ裸婦が2人描かれている。上と左にみえる青の色面と光があたった女性の肌が眼に焼きつく。一つの漢字を題名にした絵はこれまで数点みたが、ここには“晶”のほかに2点ある。見てのお楽しみ。

最後のほうに飾ってあるビッグネームの高山辰雄(3点)や加山又造の猫や千羽鶴の絵も心をとらえて離さない。また、山口蓬春の“留園駘春”や山本丘人の“紅葉の季”も画家の代表作のひとつに数えられている花鳥画の名品。今年の日本画鑑賞は山種美、大丸東京とのっけから感動2連発。これがずっと続いて欲しい。

|

« 北斎諸国名橋奇覧と諸国瀧廻りの復刻版画 | トップページ | 川越市立美術館の橋本雅邦展 »

コメント

大丸東京、流石に朝日でも毎日でもチケットが入らないのでパスを購入しようかと考えています。
おそらく開館記念で大きな展覧会が続くと思われますのでー。
ところで大丸ミュージアム、以前のミュージアムと比べて広さとか展示方法とかはいかがでしたか?
いづつやさんがかなり感動されたようなので近いうち観にいきます。

投稿: oki | 2008.01.13 11:41

to okiさん
新しいミュージアムは旧に較べて3倍くらい
の広さです。デパートの美術館としてはこの
くらいが精一杯でしょうね。

水野コレクションは名品を選りすぐってもって
きた感じです。これほどいい絵があるとは思
ってもいませんでした。

西洋絵画のほうにウエートがあり、日本画は
きらいではないがいつも出かけるほどではない
という絵画好きの方にとって、昨年の山種開館
40周年記念展とかこういうミュージアム開館
記念展などはいい日本画を見る絶好の機会かも
しれません。

私は西洋画も日本画もどちらも貪欲に鑑賞して
いますが、日本画にのめりこんでない方は年に
数回、こういういい展覧会をみられるだけでも
大きな満足が得られるのではないでしょうか。

投稿: いづつや | 2008.01.13 16:26

行ってきました、名品ぞろいに深く感動です!
去年日本橋三越の山形美術館のヨーロッパ絵画にも驚きましたが、地方にも探せばいい美術館があるのですね。
足立美術館とMOAだけではない/笑。
僕には誰が誰に影響を与えたとかそういう点が一番面白かったですー連綿と続く美の系譜!
大丸はこの次絵本展をやったあと、3/6から、山寺後藤美術館「ヨーロッパ絵画名品展」をやるようですが、この展覧会あちこちでやっていませんか?

投稿: oki | 2008.01.16 21:42

to okiさん
地方都市にもいい近代日本画のコレクションが
あります。私が知っているのでは、
★足立美(島根県安来市)
★ウッドワン美(広島県廿日市市)
★蘭東閣美(呉市下蒲刈町)
★西宮大谷美
★富山県水墨美(富山市)
★水野美(長野市)
★名都美(愛知県長久手町)
★MOA(熱海市)
★敦井美(新潟市)
★山形美(山形市)

後藤美コレクションは05年、山寺へ行っ
たときに存在を知ったのですが、その
西洋絵画の質はどうなんでしょうか?

投稿: いづつや | 2008.01.16 23:23

こんばんは。
水野は新しい美術館なのにすばらしく幅広いコレクションですね。新しいというのは関係ないでしょうけど。
実は美人画ばかりだとなぜか思い込んでいたので、いろいろあってうれしかったです。
鏑木清方の大きな作品をみたのが初めてで、感激しました。

投稿: キリル | 2008.01.20 00:26

to キリルさん
美人画はいいのが揃ってましたね。私もはじめて
みる鏑木清方の屏風に大満足でした。こういう
開館記念展はいい絵を見る絶好の機会ですから、
必ず出かけることにしてますが、内容が予想を
上回ると嬉しいですね。

投稿: いづつや | 2008.01.20 16:11

こんばんは。
私も行ってきました。
まだ近代日本画は超初心者ですが、
充分楽しめました。
均整の取れたコレクションで、
すがすがしい気分になりました。
水野美術館をこの眼で確かめたくなりました。

投稿: あべまつ | 2008.01.20 21:42

to あべまつさん
新装なったミュージアムに相応しいすばらしい
作品が沢山ありましたね。

横山大観のいい絵を過去に見たり、加山又造
の2点も回顧展に出品されましたから、水野美
のコレクションの質は高そうだなと漠然と思っ
てましたが、これほどとは思いませんでした。
山種と同じくらいの満足が得られました。

投稿: いづつや | 2008.01.20 23:55

上の地方美術館のリストに驚きです。
そんなにあるのですね。MOAしか知りませんでした。
おかげさまで、旅の目的を増やすことができました。

投稿: 一村雨 | 2008.01.23 04:04

to 一村雨さん
旅行のため、返事が遅れてすいません。地方の
産業人や資産家が熱心に集めたコレクションも
見ごたえがあります。お楽しみになってくだ
さい。

投稿: いづつや | 2008.02.02 00:18

こんにちは、はなと申します。
同じ展覧会を見た方をたどってお邪魔いたしました。
ほんとに山種美術館を髣髴とさせるような充実のコレクションにおどろきました。
これはぜひとも水野美術館にいってみたい、と思わされます。
私はこのあたりの日本画が好きなのですが、まだ山種の春のめざめにいけてないので、急いでいきたいなって思います!

TBがうまくとばなかったようなので、このコメントのURL欄に自分の記事のURLをいれさせていただきます。

それでは、失礼いたしました。

投稿: はな | 2008.02.03 22:19

to はなさん
はじめまして。書き込み有難うございます。
水野美術館のコレクションがこれほどいいとは
思いませんでした。ほかの作品を見る機会がまた
あればいいのですが。東山魁夷記念館と併せて
再訪するつもりです。

これからもよろしくお願いします。日本美術
はしばらくお休みですが、また気軽にお越しくだ
さい。

投稿: いづつや | 2008.02.04 17:39

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 水野美術館のすばらしい日本画コレクション!:

» 【みる】近代日本画 美の系譜 [アトリエ・リュス]
大丸ミュージアム・東京で「水野美術館コレクションの名品より 近代日本画美の系譜 〜横山大観から?山辰雄まで〜」をみた。 長野の水野美術館が所蔵する日本画コレクションから厳選された約60点が東京にご出張。 下村観山《春秋》(1909) デザイン画のようにシンプルですっきり、そして美しい植物。ウィリアム・モリスのデザインが思い出された。 下村観山《獅子図屏風》(1919頃) 青や緑で描かれた獅子の霊獣のような高貴さと、人間的な親愛の情を兼ね備えた姿がまぶしい。 菱田春... [続きを読む]

受信: 2008.01.20 00:20

» 近代日本画 美の系譜 ・大丸ミュージアム東京 [あべまつ行脚]
東京駅に隣接の大丸デパートが去年年末にリニューオープンをしたのと同時に、 大丸ミュージアムも新・オープンで、第1回の「ベル・エポック展」に続き、 綺麗どころを集めた水野コレクションの展覧で、新春を寿ぐことになった。... [続きを読む]

受信: 2008.01.20 21:43

» 近代日本画 美の系譜     大丸ミュージアム [つまずく石も縁の端くれ]
新しくなった大丸ミュージアムに初めて出かけた。以前より狭くなったという話をどこぞで聞いたような気がしたが、あまり変わらないのはという印象。さっそく、2,000円のパスポートチケットを購入。今回は、長野にある水野美術館というところの所蔵作品展。この美術館も初...... [続きを読む]

受信: 2008.01.23 04:00

» 「近代日本画 美の系譜」展 [弐代目・青い日記帳 ]
大丸ミュージアム・東京で開催中の 「水野美術館コレクションの名品より 近代日本画 美の系譜〜横山大観から高山辰雄まで〜」展に行って来ました。 「ベル・エポックの輝き−魅惑の宝飾からガラス工芸まで−」展に続き大丸東京店オープン記念第二弾となる展覧会は近代日本画。今まで行くたくとも行けずにいた長野の水野美術館所蔵の約60点の名品が大丸東京10階にやってきています。 キノコノコノコゲンキノコ♪でお馴染みのホクト株式会社社長 水野正幸氏が蒐集したのが「水野コレクション」なのだそうです。... [続きを読む]

受信: 2008.01.31 00:03

« 北斎諸国名橋奇覧と諸国瀧廻りの復刻版画 | トップページ | 川越市立美術館の橋本雅邦展 »