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2008.01.18

王朝の恋ー描かれた伊勢物語

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出光美の“王朝の恋展”(1/9~2/17)に対する期待値はそれほど高くなかったのだが、ここの企画展には手抜きがない。今回も大ヒットである。伊勢物語を題材にして描かれた絵画、物語の有名な場面を象徴する図案が使われたやきもの、蒔絵硯箱は数限りなくあるだろうが、これほどの優品をよく集めてこれるものだと感心する。

2,3年前の企画展では他館からの出展はあまりなく、作品の大半は出光自身の所蔵品が中心だったのに、最近は展示の方針が変わったのか他からも優品を積極的に借りて展示している。だから、見終わったあと、すごくいい内容のものを見たという思いが強い。しかも、ここは企画展が“ぐるっとパス券”を使うと無料。

今、都内の民間美術館でどこが好感度NO.1かと聞かれれば、多くの人が出光と答えるのではなかろうか。作品を数多く見れる大展覧会も魅力だが、テーマに沿った質の高い作品でいい気持ちにさせてくれる出光や山種の展示は注目に値する。

今回嬉しかったのは俵屋宗達が描いた“伊勢物語図色紙”。これは現在59面あることがわかっているらしいが、会期中、29図でてくる。過去、ここや大和文華館、MOA、細見美などでいくつか見たことはあるが、これほどの数を見れるなんて夢にも思わなかった。

大半が個人の所蔵品を集めてきて29点も見せてくれるのである。ここの“集め力”はまったくスーパー級。06年には“佐竹本三十六歌仙絵”を沢山展示したのに続き、今度は宗達の色紙。皆がいつかまとめて見たいなと願っていることを“お任せあれ!”とばかりに実現してくれるのだから、好感度はますます上がる。本当にすばらしい。

上はそのひとつ“武蔵野”。緑の草木にまわりを囲まれて男女が向かい合ってすわっている。女性の赤の衣装がなんとも鮮やか。金地に緑青、群青は宗達の作品では見慣れた色使いだが、伊勢物語でもその自由闊達な作風がいかんなく発揮されている。

琳派狂いだから、目が自ずと光琳や抱一の作品の方へいく。光琳では富士山がでてくる“東下り図”(五島美)と“富士図扇面”(出光)にしばし足がとまる。また、燕子花とくればここは抱一の下の“八ツ橋図屏風”(右隻)が定番。燕子花だけしか描かれない根津美の絵同様、群生する燕子花のなかに橋を角々と曲がらせる抱一のこの屏風も琳派モードのスロットルを全開させてくれる。

琳派の揃いぶみだけでなく、英一蝶の“見立業平涅槃図”、深江芦舟の“蔦の細道図屏風”(ともに東博)、中村岳陵らの合作“伊勢物語絵巻”(山種美)、山口蓬春の“扇面流し”(山口蓬春記念館)などもあるのだからたまらない。“伊勢物語絵巻”には第23段、“筒井筒”の場面がきれいに描かれていたので、御舟の絵(拙ブログ07/9/5)を思い出した。宗達の残りの色紙を見るため、もう一回出かけるつもり。

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コメント

こんばんは。

大興奮、満足度200%の展覧会でした。
出光の最近の企画力には目を見張ります。

源氏に比べ伊勢は堅苦しくないので好きです。

投稿: Tak | 2008.01.18 23:10

to Takさん
この展覧会、後期に登場する和泉市久保記念美蔵
の“伊勢物語絵巻”は見たことがありますから、
それほど期待してなかったのですが、東博の2点
やら、山種の初見の作品があったりで大満足で
した。

ここは本当に質の高い作品をコンパクトにまとめ
てくれますね。伊勢物語は“筒井筒”があります
から特別です。

投稿: いづつや | 2008.01.19 13:29

こんばんは
中身の濃い展覧会でしたね。
昨秋、和泉市久保惣美術館で多くの作品を見ましたが、またもや出光でこうして楽しめて嬉しいです。

ところで橋本雅邦の竜虎図は2001年春の展覧会に出ました。
あれから7年経ちましたからそろそろ出たらな、と思います。

投稿: 遊行七恵 | 2008.01.19 23:14

to 遊行七恵さん
伊勢物語に関する絵のなかでこれだけいいもの
を集めてくるのですから、出光の学芸員のレベル
は高いですね。

静嘉堂で早く所蔵日本画展をやってくれないか
と首を長くして待ってます。今年か来年あたり、
龍虎図に会えそうな予感がするのですが。
果たして?

投稿: いづつや | 2008.01.20 16:00

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出光美術館で開催中の 「王朝の恋王朝の恋―描かれた伊勢物語―」展に行って来ました。 この展覧会の始まる日を心待ちにしていました。 『伊勢物語ファン』です。 「源氏物語」に比べさっぱり。バラエティー豊かなお話満載。 しかも基本的に「恋」がテーマとくれば面白くないわけがない! 「むかし、男有りけり」の書き出しで始まる125段からなる「伊勢物語」 「男」を実在の人物「在原業平」として捉えるのが一般的。 展覧会もそれに倣って構成されています。 (第一章「むかし男ありけり... [続きを読む]

受信: 2008.01.18 23:08

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 王朝の恋 ―描かれた伊勢物語―  会期 1/9〜2/17 一部の展示作品は、1/9〜1/20、1/22〜2/3、2/5〜2/17、または、1/9〜1/27、1/29〜2/17のように展示替えされています。 古典は、名前のみよく知っていても、本文は最初の1行しか知らなかったりして、この「伊勢物語」にしても、「八橋」「都鳥」というキーワードは出てきても、「じゃあ、何が書いてあるの?」という問いには答えられない。 そこで、臼井吉見・中谷孝雄訳『竹取物語 伊勢物語 堤中納言物語』(ちくま文庫)を借りてき... [続きを読む]

受信: 2008.02.15 22:15

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