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2007.12.06

百学連環 知るたのしみ 見るおどろき

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現在、印刷博物館で歴史の教科書にでてくる有名な百科事典や博物図譜を沢山集めた“百学連環展”(9/22~12/9)が開かれている。はじめて行った印刷博物館は凸版印刷のビルのなかにある。

百科事典に特別興味があったわけではなく、お目当ては江戸の写実的絵画に影響を与えたといわれる植物や昆虫類、鳥類などがいっぱい載っている図譜(図鑑)。期待通り、第三部、“江戸に花咲く図譜のページ”のコーナーに興味深い博物画が沢山あった。これまでこういう類の書物を見る機会がほとんどなかったので、まさに“知るたのしみ 見るおどろき”の連続。

中国の本をお手本にしたものが多い。大阪の医師寺島良安が30年かけて編纂した図入り百科事典“和漢三才図会”、そして福岡藩の儒者貝原益軒が1709年に著した“大和本草”。もちろん、中国明時代、本草学者の李時珍が薬物について分類整理した“本草綱目”は第二部、“知は力なりー世界の情報”に展示してある。

江戸後期の蘭学者大槻玄沢が翻訳、刊行した博物学的薬物書“六物新志”がおもしろい。西洋の本から引用した男女の人魚がペアで載っている。男の人魚がいたの?!ケンタウロスを連想する。玄沢は人魚の存在を信じており、肉が皮膚病に、骨が血止めに効果がある薬と書いているらしい。

上は日本で最初の本格的な色つき植物図鑑、“本草図譜”。岩崎灌園が文政13年
(1830)に刊行した。鋭い観察力だけでなく絵心もあったようで見開き頁に描かれた牡丹は生き生きとしている。植物画はほかにも“草木図説”、“菌譜”がある。

西洋の事や国内の産業、名所観光、風俗をまとめた図譜のなかに、前から関心をもっていたのがあった。下は諸国の名産を図版によって紹介した“日本山海名産図会”で、伊丹の酒造りの様子がリアルに描かれている。ほかには熊野の蜂蜜、土佐の鰹、伊万里の陶器、出雲のたたら製鉄など。手にとって頁をめくってみたい衝動に駆られる。

これが刊行されたのは寛政11年(1799)。著者は大阪の町人学者、木村兼葭堂(きむらけんかどう)。谷文晃が描いたこの人の肖像画を昨年、府中市美であった“亜欧堂田善の時代展”で見たが、こんな立派な仕事をしていた。

また、最近知った美容に関する書、“都風俗化粧伝”が見れたのは願ってもないめぐりあわせ。ここには“色を白くし、肌を細かくし、美人とする方法”、“手足を白くつやを出し、太きを細かくしなやかにする方法”などの美容法が書かれているから、当時の女性たちには欠かせない本だったにちがいない。

興味の尽きない本がいくつもあり、大いに刺激を受けた。今、図録を夢中になって読んでいる。

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コメント

この展覧会は東大出版会のメールマガジンで招待券をいただいたのですがまだ行っていないのです。
九日まででしたよね、なんとかいかないとー。
印刷博物館、いづつやさんはじめてでしたか!
常設展示のコーナーもよくできていますよね。
いちばんいいのは人がいないこと、いつ行ってもガラガラ/笑。
東大も絡んだ特別展ですから、展示も図録も読み応え有るでしょうね、あと三日のうちにいきます。

投稿: oki | 2007.12.07 00:13

to okiさん
時間があまりなかったので、特別展だけをみて、
次回常設展示をじっくり見ることにしました。

江戸の図譜が一番の狙いでしたが、ディドロの
“百科全書”とかカール・リンネの“自然の
体系”などの歴史的な書物も見れましたから、
大満足でした。本のような図録を毎日読んで
ます。

投稿: いづつや | 2007.12.07 10:23

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