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2007.12.16

東博平常展の名画

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東博の平常展に3年前から待っていた絵がやっと登場した。上の“月次風俗図屏風”(重文)。“月次”は“つきなみ”と読む。展示期間は12/11から来年の1/20まで。右の正月の場面がチラシ“博物館に初もうで”に使われている。年があけてみてもいいのだが、もう待ちきれず展示されたその日に見てきた。

一年の各月に公家や庶民の生活のなかで行われる年中行事が八扇に描かれている。上は一扇の正月の羽根突、毬打(ぎっちょう)、松囃と二扇の花見。これに三・四扇の田植え、五の賀茂競馬と衣更、六の犬追物と蹴鞠、七の富士の巻狩、八の春日社頭の祭りと雪遊びが続く。

正月の羽根突は小さい頃はどこの家でもみられた光景だが、今はこうした絵のなかでしか見れない。八扇に描かれている雪遊びでは3つの雪だるまを子供や若い女が転がしている。山口蓬春記念館が所蔵する“十二ヶ月風俗屏風”(拙ブログ05/1/253/2)にでてくる雪だるまはこれより1.5倍くらい大きく、男たちは下に木をあてがいこれに滑らして転がしている。今も昔も遊び方は変わらない。

今は冬なので、その季節感を味わえないが、画集で五扇の田植えの風景を見るときはいつもある映画のシーンを想い浮かべていた。それは黒澤明監督がメガホンをとった名作“七人の侍”の最後のシーン。野武士の襲撃から村を守り、侍たちが村を去っていくとき、リーダーの勘兵衛らは幸せそうに田植えをしている女たちや田んぼのまわりで笛を鳴らし、太鼓をたたいて景気をつけている男たちを目を細めて眺めている。

この屏風の隣に展示してある下の狩野元信作“祖師図”も見事な絵。これはもと大徳寺の塔頭である大仙院の障壁画。大作なので見ごたえがある。この場所には元信が描いた大仙院の障壁画や襖絵が定期的に飾られる。2年ぶりの展示となる“祖師図”、今年の前半にでた“太公望・文正図”、“西王母・東方朔図”と“朱買臣図”の4点。このなかでは“祖師図”が一番の傑作。コンディションもよく、もくもく感がいっぱいにでている雲の描写に惹きつけられる。

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» 平常展 @東京国立博物館 [Art & Bell by Tora]
1.洛中風俗図屏風(舟木本)  洛中洛外図は70点以上あり、16世紀に描かれた狩野元信の描いた町田本(歴博甲本)・歴博乙本・狩野永徳の描いた上杉本は見ている。  17世紀にはいると、洛中洛外図は、左隻の中央部に二条城を描く第二の定型が成立する。この中で絵画として高い評価を受けているのは舟木本(東博本)である。これは郊外を捨てて、市外の活況に焦点をしぼっている。この屏風が、平常展に出展されている。辻惟雄「カラー版日本美術史」の表紙絵ともなっている有名作品である。 空いているところで、単眼鏡を使い... [続きを読む]

受信: 2007.12.18 21:15

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