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2007.12.25

工芸の力ー21世紀の展望

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東近美工芸館の開館30周年を記念する特別展の第2弾は“工芸の力ー21世紀の展望”(12/14~08/2/17)。記念展Ⅰの“30年のあゆみ展”(拙ブログ10/25)はいい内容だったが、パートⅡにはかなりリスクがある。楽しみよりは不安のほうが先に立つ。その不安はどこからくるのか?大半の作家を知らないからである。

スポットが当てられている14人の作家のうち知っているのは陶芸家の前田昭博と三輪壽雪(06/7/18)、そしてオブジェの中島晴美(この作家は男性、05/12/19)の3人だけ。毎年開催される日本伝統工芸展のような展覧会にほとんど出向かないから、最前線で活躍する作家とは全くといっていいほど縁が無い。だから、3人の作品を楽しめればいいと割り切って入場した。パスポートを購入しているので今回も無料。

入ってすぐのところにお目当ての前田昭博の美しい白瓷(はくじ)が5点あった。上はその一点“白瓷面取壺”(1996)。上下互い違いにずらした面取りがつくりだすフォルムとその面取りによりできる光と影からなる陰影が心を揺すぶる。全体が卵形をした壺は鋭角的な鋭い線と女性的なやわらかさをあわせもっているのが大きな魅力。そして、見る角度によりさまざまな表情を見せる。こんな名品をみるのに言葉はいらない。

下の作品は田口義明の“鯉蒔絵飾箱”(2006)。8点ある蒔絵は最初、人間国宝・田口善国のものかと勘違いした。名前をよくみると作家は善国の長男だった。はじめてみたが、作品にすごく力がある。紅葉や幾何学的な文様に比べ、鯉や鳩、金魚、海老がモティーフとして使われている作品のほうがいい。とくに痺れたのがこの鯉。飾箱の蓋には青やゴールドで彩られた柔らかい流水文が、側面に鯉がどんと大きく描かれている。黒地に青、金色といった強い色彩対比と装飾的な文様に強い衝撃を受けた。

福本潮子の藍染作品も夢中になってみた。着物なら沢山みたが、こういう文様の繰り返しや一つのイメージを表現した藍染はみたことがない。藍の地に小さな白い光が無数に輝く“銀河”(1998)に言葉を失って見ていた。“工芸の力”を200%感じさせ、ファンタジーの世界に誘ってくれるすばらしい作品である。

最後の部屋に飾ってある北川宏人がテラコッタでつくった等身大の人物像も魅力一杯。青山や六本木に行けば会えそうな都会に生きる若い男女6人が目の前に立っている感じ。チラシに使われているスキンヘッドの男性に引き気味だったが、実際にみてみると愛着のもてるいい作品。イタリアに留学しただけあって北川の服装の色彩センスがとてもいい。こういう人物像ならもっとみてみたい。

北川は40歳だそうだが、その才能は高く評価されているにちがいない。My好きなアーティストに即登録した。見る前は不安が半分あったのに、館を出るときは気分はかなり高揚していた。新しい作家と出会うのは確かに刺激になる。

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コメント

こんばんは。
私も先日この展覧会に行って来ました。
いづつや様同様、蒔絵と北川テラコッタ像には
特に感銘を受けました。
作家の選定が良かったですね。
後ほどTBさせていただきます。

投稿: meme | 2007.12.27 22:12

to memeさん
知らない作家が多かったので、不安半分だった
のですが、見終わったあとの満足は予想を上回る
大きさでした。

初見の北川のテラコッタが大変気に入りました。
この作家はこれから追っかけモードです。

投稿: いづつや | 2007.12.28 00:00

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