« 青山ユニマット美術館のシャガール | トップページ | プロ野球FA選手の大リーグ移籍 »

2007.12.13

松岡美術館の川合玉堂

117
118
東博や東近美のような大きな美術館の楽しみは期待の企画展を観ることであるが、展示室があまり広くない民間の美術館の場合、所蔵の名品が目を楽しませてくれる。そのひとつ、松岡美術館にある日本画もそろそろ済みマークがつくところまできた。

で、ひと区切りつけようと“近代日本画展”の後期(10/30~12/24)に出かけた。前期(拙ブログ9/28)で紹介した横山操、杉山寧の絵、東山魁夷、山口蓬春は後期も引き続き飾られており、後期に横山大観、堂本印象の作品と入れ替わってでてきたのはここが比較的多く所蔵している下村観山と川合玉堂。

3点ある観山では、はじめてみる中国唐代の高僧、臨済(臨済宗の開祖)の肖像画に魅せられた。耳が大きく穏やかな顔をした臨済は小さな心配事でも“はい、はい”と言って聞いてくれそう。肖像画というのは簡単ではない。徳の高い人のこころは自然に顔に表れるというが、技量のある画家でもそれを表現するのは大変。流石は観山、これをみると大きな画家だなと思う。

図録でいつか見たいと願っていたのが上の川合玉堂作、“炭焚く夕山”。最近、刀に嵌り、出雲のたたら製鉄をレビューしていたら、ビデオ映像のなかに今も行われている木炭づくりがでてきた。仕事現場はちょうどこの絵のような感じ。晩秋の夕暮れ時、手前のごつごつした大きな岩のむこうにある炭焼き小屋から立ち上がる白い煙が本当によく描かれている。

この巧みに描写された白い煙がすぐ、同じように白が印象的な絵を思い出させてくれた。それは7月の“日展100年展”(国立新美)に出品された下の“暮るる山家”
(部分、大倉集古館)。これもすごく感激した絵。仕事を終えて家に帰りついたあと、農民が熱い湯で馬の体を拭いてやっている。白い湯煙の質感に思わず息を呑んだ。湯の充分な熱さに馬も気持ちよさそう。日本の農村でみられるこういうほろっとする情景を玉堂は愛情をこめて情趣豊かに描いた。

今年は山種美術館が玉堂の回顧展(9/12)を開催してくれたし、ここでもいい絵をいくつも見れた。当分は体中にしみこんだ農村の原風景が心をほぐしてくれるだろう。

|

« 青山ユニマット美術館のシャガール | トップページ | プロ野球FA選手の大リーグ移籍 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 松岡美術館の川合玉堂:

« 青山ユニマット美術館のシャガール | トップページ | プロ野球FA選手の大リーグ移籍 »